韓国と日本の、減少する出生率の解決策を、韓国人の視点で考えてみました。

落ち続ける韓日出産率
目次
- ○ 韓国では、2022年の出生率が0.78となり、またまた過去最低を更新しました。
- ・昨年1年間に生まれた出生児数は、24万9千人で、これは10年前の半分強です。
- ・日本の出生率は、2021年に1.30で、2022年は1.05です。
- ・韓国も2020年に人口減少時代に入りました。
- ○ 出生率が下がっているのは、結婚しない人が増えていることが一番大きな原因です。
- ・今年40歳の未婚率は、男性が40.6%、女性が25.2%です。
- ・予想を上回るスピードで日本の40歳未婚率を追い抜きました。
- ・生涯未婚率もどんどん上がっています。
- ○ 韓国では、1970年には出生率が4.53人でした。
- ・しかし、50年ちょっとの間に大きく変わりました。
- ・結婚しても子供を作らない夫婦が増えていることも原因のひとつです。
- ○ 子供をつくらない理由は、子育てにお金がかかりすぎるからです。
- ・韓国は、塾や習い事などにかかる教育費が高いです。
- ・いわゆる学校[小学校、中学校、高校、大学]以外にかかる費用を私教育費と言います。
- ・出生から大学卒業までの養育費は4億ウォン以上です。
- ・日本の1人当たり養育費は1600万円です。
- ・韓国は、子供の養育費用の負担が、日本の2.5倍以上です。
- ・日本では、子供がいる家庭は1人っ子より兄弟のいる子が多くて、3人、4人もよく見かけます。
- ・韓国では3人以上兄弟がいる家庭はめったにありません。ほとんど1人っ子です。
- ・特に、ソウル市内には、お金がなくて2人めをあきらめたり、1人めからあきらめている人が多いです。
- ・子供を育てるのにお金がかかりすぎる、それが、子供が減っている大きな原因です。
- ○ 子供の数が少なくなり、このままでは国がなくなる、
- ・そんな危機感から、最近は、テレビでも、子供がたくさんいる家族がよく出るようになりました。
- ・テレビに出てくる有名芸能人の家族は、兄弟が2人くらいいることが多いですが、
- ・テレビに出る芸能人家族は、一般の韓国人の家族の様子とは違います。
- ○ 最近は、赤ちゃんを産んだら出産祝い金がもらえたり、小学校入学前の子供に養育費が出るようになりました。
- ・しかし、実際に育てるのにかかる費用に比べたら、全然足りません。
- ・政府がお金を支給するのは簡単です。お金は刷ればいいですから。
- ・日本も韓国も、子供を育てるのにかかる費用を政府が全額負担する、それくらいしなければ、子供は増えない、
- ・フランスでは、子供の養育費を政府が金銭的にたくさん支援する、というやり方で、少子化に歯止めをかけることに成功しています。
韓国では、2022年の出生率が0.78となり、またまた過去最低を更新しました。
昨年1年間に生まれた出生児数は、24万9千人で、これは10年前の半分強です。
この10年で生まれてくる子供の数が半分近くになっています。急激な減少です。
日本の出生率は、2021年に1.30で、2022年は1.05です。
2019年の1.42から、2021年には1.30に減少しています。日本も減少傾向が続いています。韓国ほどではないですが、日本も危機的状況は同じです。
子供の数が減少しているため、日本は、毎年人口が少しずつ減少しています。
韓国も2020年に人口減少時代に入りました。
人口自然増加推移
赤が出生時数、青が死亡者数
棒グラフが自然増加
出生率が下がっているのは、結婚しない人が増えていることが一番大きな原因です。
日本と同じです。私の周りにも結婚していない友人たちがたくさんいます。
今年40歳の未婚率は、男性が40.6%、女性が25.2%です。
日本は、40代前半の未婚率が、男性約30%、女性が約20%です。
予想を上回るスピードで日本の40歳未婚率を追い抜きました。
生涯未婚率もどんどん上がっています。
左が男性の生涯未婚率、右が女性の生涯未婚率
2025年以降は予想です。
あと10年で男女とも日本に追いつき、そして、一気に追い抜く予想です。
韓国では、1970年には出生率が4.53人でした。
緑が出生児数 黄色が合計出産率
ですので、今の50代は平均4人から5人兄弟です。赤ちゃんの数も年間100万人でした。
しかし、50年ちょっとの間に大きく変わりました。
今は1人っ子が普通で、赤ちゃんの数も、年間25万人弱しかいません。
結婚しない人が増えたことも原因ですが、
結婚しても子供を作らない夫婦が増えていることも原因のひとつです。
子供をつくらない理由は、子育てにお金がかかりすぎるからです。
お金がないと結婚できませんが、なんとか結婚しても、お金がないから子供を育てることをあきらめます。お金がないのに子供を作るのは無責任だと韓国人は考えます。
韓国は、塾や習い事などにかかる教育費が高いです。
ひとつひとつも高いし、たくさんやらせる必要があります。子供がたくさんほしくても、余程余裕がなければ子供を2人以上持てません。
いわゆる学校[小学校、中学校、高校、大学]以外にかかる費用を私教育費と言います。
主に、塾や予備校、家庭教師などにかかる費用ですが、ピアノやテコンドーにかかる費用も私教育費です。
出生から大学卒業までの養育費は4億ウォン以上です。
子女一人当たりの全体養育費用
一番下が「全体(出生後大学卒業まで)」3億896万4000ウォン
これは2018年のデータです。物価も上がっているので、今はもっと上がっているはずです。
為替レートは、平均すると、だいたい100円=1000ウォンです。
日本の1人当たり養育費は1600万円です。
私立の学校か、公立の大学か、などでかかる費用は変わりますが、
韓国は、子供の養育費用の負担が、日本の2.5倍以上です。
この違いが大きいです。
日本では、子供がいる家庭は1人っ子より兄弟のいる子が多くて、3人、4人もよく見かけます。
韓国では3人以上兄弟がいる家庭はめったにありません。ほとんど1人っ子です。
もし、お金に余裕がないのに子供がたくさんいたら、子供に満足な教育も受けさせることができないのに子供を作って無責任な親、そういうレッテルで見られることになります。
特に、ソウル市内には、お金がなくて2人めをあきらめたり、1人めからあきらめている人が多いです。
私の弟夫婦も、金銭的な理由から2人めをあきらめました。金銭的と言っても特別お金がないわけではありません。標準的な「共稼ぎのサラリーマン家庭」と言っていいと思いますが、2人の子を塾に通わせたりしながら、きちんと育てるだけの余裕はないと判断したそうです。会社をいつクビになるかもわからない時代ですし、1人の子にできるだけのことをしてあげる、それで精一杯だと言っていました。
子供を育てるのにお金がかかりすぎる、それが、子供が減っている大きな原因です。
皆、わかっています。しかし、その解決策を示せる政治家はいません。本当に大事なことなんですけど。
子供の数が少なくなり、このままでは国がなくなる、
そんな危機感から、最近は、テレビでも、子供がたくさんいる家族がよく出るようになりました。
子供がたくさんいると楽しくて幸せですよ。そんなアピールです。しかし、いくらそんな画面をたくさん見ても、子供をたくさん持つことは不可能です。現実的にお金がありません。
テレビに出てくる有名芸能人の家族は、兄弟が2人くらいいることが多いですが、
それは、お金があるからできることです。
テレビに出る芸能人家族は、一般の韓国人の家族の様子とは違います。
最近は、赤ちゃんを産んだら出産祝い金がもらえたり、小学校入学前の子供に養育費が出るようになりました。
しかし、実際に育てるのにかかる費用に比べたら、全然足りません。
子供を育てるのにかかる費用を政府が負担しない限り、韓国では、赤ちゃんを産む人は増えないと思います。子供の私教育にかかる費用を含めて毎月支給する、そのくらいしなければ難しいと思います。
政府がお金を支給するのは簡単です。お金は刷ればいいですから。
お金を刷って通貨供給量を増やします。通貨供給量を増やすと物価は多少上がりますが、給与も上がるので生活レベルは変わらないはずです。
ただ、韓国の場合は、既に毎年物価がどんどん上がっているので、たくさん刷るのはちょっと難しいかもしれません。
でも、日本は、政治家が決断さえすればできるはずです。
⇒国はお金が足りなかったら刷ればいいんです。国債は借金ではありません。
日本も韓国も、子供を育てるのにかかる費用を政府が全額負担する、それくらいしなければ、子供は増えない、
少子化に歯止めがかからないのではないでしょうか。
フランスでは、子供の養育費を政府が金銭的にたくさん支援する、というやり方で、少子化に歯止めをかけることに成功しています。
見習うべきだと思いますが、韓国も日本も、なかなかそこまでいきませんね。