韓国の自殺事情、OECD加盟国1位の自殺率【2023年最新版】
有名芸能人が自殺をするたびに、日本でもニュースになるので、韓国人の自殺については、ご存じの方も多いと思いますが、韓国で自殺するのは、有名タレントだけではありません。
目次
- ○ 1 韓国の人口当たりの自殺率は世界一です。
- ・日本も韓国も、自殺者数は2011年がピークでした。
- ・その後、日本は大きく減少しましたが、韓国は少ししか下がっていません。
- ・韓国の自殺率は、先進国の集まりであるOECD加盟国でずっと1番です。
- ・韓国では、1990年頃には年間の自殺者は3千人ちょっとでした。
- ・昔は親にもらった命を自分から捨てるなんて考えられませんでした。
- ○ 2 自殺の理由はお金の問題が一番です。
- ・およそ4人に1人が、経済的問題から自殺しています。
- ・日本は健康問題で自殺する人が多いようです。
- ・韓国では、3人に1人以上が、うつ病など、精神的問題からの自殺です。
- ・うつ病は、ただの病気であることを知ってもらう、そんな取り組みを行っています。
- ○ 3 韓国では、老人の自殺が多いです。
- ・経済的に生活できないと自殺します。
- ・韓国の老人の自殺の中で多いのが農薬を飲む自殺です。
- ・農村に鍵のついた農薬安全保管箱を届ける運動をしています。
- ・基礎年金を渡したり、この運動の成果もあり、この10年で、老人の自殺率は、かなり改善されました。
- ○ 4 一時減っていた、10代や20代の自殺が最近また増えています。
- ○ 5 ハンガン(한강・漢江)の橋から飛び降り自殺を試みる人が、毎年500人くらいいます。
- ・100人という数字は、自殺者全体から見れば、大きな数字ではありません
- ・韓国の場合、本気で自殺する気はなくて「ショー」をする場合もよくあります。
- ・通りがかった人に止められて、飛び降りることができなかった場合もあります。
- ・橋の歩道は、監視カメラで24時間監視しています。
- ・ハンガン(漢江)の橋の中でも、自殺が一番多いのが、マッポテギョ(마포대교・麻浦大橋)です。
- ・橋の欄干には、暖かい言葉が並んでいます。
- ・24時間つながる命の電話も設けました。
- ・自殺防止のさまざまな活動が行われています。
- ○ 6 一番の問題は、恐らく、韓国人が必要以上に周囲の目を気にすることです。
- ・他人と必要以上に比較し、少しでも違うとあれこれケチをつけたり妬んだりします。
- ・自分は自分、他人は他人では生きられない、という社会的風潮が社会的弱者を自殺に追いやっている
- ・ピークから20%近く減りました。それでも世界一なんですけど。
1 韓国の人口当たりの自殺率は世界一です。
青の棒グラフが、自殺者数
紫線が、自殺率
最新の2022年のデータが、1年間の自殺者が12616人、人口10万人当たり24.4人です。
横ばいの状態が続いています。
日本も韓国も、自殺者数は2011年がピークでした。
日本は、ピークの自殺者数が年間3万人を越えていました。
韓国はピーク時に年間約1万5千人でした。
自殺者数は日本の半分ほどですが、人口が日本の40%くらいですから、人口10万人当たりで比較すると、ピーク時の自殺率は、韓国が31.7人、日本が25.8人となります。
その後、日本は大きく減少しましたが、韓国は少ししか下がっていません。
2020年には、日本の年間自殺者数は2万人ちょっとでした。10年間で30%以上も減りました。自殺を減らす取り組みを、熱心に行った結果ですよね。
韓国は、2020年には年間1万3千人ほどです。減少率は13%です。その結果、2020年の自殺率は、韓国23.5人、日本14.7人になっています。差が開きました。
韓国の自殺率は、先進国の集まりであるOECD加盟国でずっと1番です。
2020年の人口10万人当たりの自殺率は、1位韓国、2位リトアニア、3位スロベニア、4位日本、5位アメリカ、6位フィンランド、7位豪州、8位スウェーデン、9位スイス、10位カナダ、11位ドイツ、12位英国、13位スペイン、14位イタリア、15位トルコです。
統計資料としては、OECD加盟国のものしかありませんが、OECD国以外で、自殺の多い国は聞いたことがないので、ほぼ間違いなく世界一です。
韓国では、1990年頃には年間の自殺者は3千人ちょっとでした。
OECD主要国 自殺率 推移
自殺率は、人口10万人当たりの自殺者数で、赤線が韓国、オレンジが日本、青がフィンランド、水色がアメリカ、緑が平均、灰色がイギリスです。
韓国では、90年代前半までは、自殺者はそれほど多くなかったのですが、高度成長期を過ぎて以降、どんどん自殺率が上がってきました。90年代でも、97年が飛び出て高いのは、その年に、経済危機があったからです。外貨危機、いわゆるIMF時代です。
昔は親にもらった命を自分から捨てるなんて考えられませんでした。
しかし、有名タレントの自殺もあって、簡単に自殺する国になってしまった感じがします。
1980年代まで、はるか上にいた日本を、あっと言う間に追い抜いてしまいました。
2 自殺の理由はお金の問題が一番です。
およそ4人に1人が、経済的問題から自殺しています。
韓国では、貧富の差が大きいです。一部大企業勤務の社員か、企業経営者以外は、みな、経済的に家計は大変です。そのため、韓国は、経済状況と比例して、自殺率が上がります。
年齢別では、
10代は、学業や交友関係
20代~30代は、長期の失業
40代~50代は、子供の教育費の負担
などが主な原因と言われています。
日本は健康問題で自殺する人が多いようです。
年齢別では
10代は、学校問題、健康問題
20代~50代は、健康問題、経済・生活問題
60代は、健康問題
となっています。
韓国では、3人に1人以上が、うつ病など、精神的問題からの自殺です。
芸能人の自殺も、うつ病からの自殺が多いです。
精神病というと、頭のおかしい人、気の狂った人、そんな悪いイメージがあり、うつ病になっても、周囲の理解が得られず、病院にも行けず、どんどん病状が悪化して、自殺に至ってしまいます。
うつ病も、病気のひとつで、風邪や、生活習慣病と同じで、病院に行って、お医者さんの言うこと聞いて、薬を飲んで治せば治るものだ、そういう社会的認識が、まだまだ足りません。韓国では、自殺を減らすために、
うつ病は、ただの病気であることを知ってもらう、そんな取り組みを行っています。
3 韓国では、老人の自殺が多いです。
経済的に生活できないと自殺します。
これも韓国特有の状況です。そのため、積立年金のない老人たちに、政府が、毎月、基礎年金として、生活費を渡しています。
韓国の老人の自殺の中で多いのが農薬を飲む自殺です。
少し前まで、農村部では、全自殺中、農薬自殺は1位でした。
農村には農薬が身近なところにあるため、かっとなって衝動的に農薬を飲む老人が韓国には多くいます。私の親戚とか、知り合いの両親とか、私の周囲だけでも10人以上になります。
農薬を飲んで自殺を図った時に、周りの人がすぐに救急車を呼んで命が助かっても、残りの人生は農薬中毒に苦しみます。
そのため「生命保険社会貢献財団」では
農村に鍵のついた農薬安全保管箱を届ける運動をしています。
農薬を自宅や倉庫で保管する時に、農薬安全保管箱に入れて鍵を締めて保管して下さいという、それだけのことです。鍵は自分で管理します。
でも、農薬が鍵のついた箱に入っていれば、衝動的に農薬を飲むことができなくなるので、かっとなった時、実際に農薬を飲んでしまう老人が減ります。鍵を探したり、鍵を開けようとする間に、気持ちが治まることも多いからです。そのくらい、衝動的に、かっとなって農薬を飲んでしまう老人が韓国にはたくさんいます。
基礎年金を渡したり、この運動の成果もあり、この10年で、老人の自殺率は、かなり改善されました。
韓国の自殺者が減ったのは、老人の自殺が減ったことが大きいです。
4 一時減っていた、10代や20代の自殺が最近また増えています。
韓国の若者たちの40%が自殺を考えたことがあり、9%が実際に自殺を試みたことがある、という調査結果もあります。
5 ハンガン(한강・漢江)の橋から飛び降り自殺を試みる人が、毎年500人くらいいます。
日本では、自殺と言うと、富士の樹海というイメージがありますが、韓国では、自殺と言うとハンガン(漢江)の橋です。1日に1人以上いる計算です。そして、そのうち自殺に成功するのは100人くらいだそうです。
100人という数字は、自殺者全体から見れば、大きな数字ではありません
しかし、ハンガン(漢江)の橋から飛び降りて自殺した、とニュースに出るようなことも結構あります。10年以上前になりますが、殺人を犯した元プロ野球選手も、殺人が発覚して逃げられないとわかるとハンガン(漢江)の橋から飛び降りて自殺しました。
韓国の場合、本気で自殺する気はなくて「ショー」をする場合もよくあります。
振られた女性の気持ちを取り戻したくて自殺騒動を起こすとか、そんなケースも結構あるので、500人のうちどれだけの人が本気かわかりません。
通りがかった人に止められて、飛び降りることができなかった場合もあります。
以前、あるコメディアン(개그맨・ギャクマン)が、橋を自転車で渡っている時に自殺しようとしている人を発見して、急いで警察に通報して助けた、ということがニュースに出ていました。
もちろん、橋から自殺しようとしている人を、なんとか助けようという試みも行われています
橋の歩道は、監視カメラで24時間監視しています。
監視カメラ(CCTV)で自殺者だと思ったら、救急隊がすぐに出動します。
でも、中には、普通に歩いていて、いきなり橋を乗り越える人もいます。その時には、救助隊がボートで急行します。
救助隊の必死の救助のおかげで、自殺者の70%は無事に救助しているそうです。でも、30%は救助できず、死体となって引き上げられます
ハンガン(漢江)の橋の中でも、自殺が一番多いのが、マッポテギョ(마포대교・麻浦大橋)です。
マッポテギョ(麻浦大橋)は、ヨイド(여의도・汝矣島)にかかる橋で、景色もきれいな橋です。
数ある橋の中で、どうしてマッポテギョ(麻浦大橋)が、一番自殺が多いのかよくわかりませんが、1970年に橋ができて以来「自殺橋」という不名誉な別名もあるくらいです。
そのため、ソウル市とサムソン生命(삼성생명・三星生命)が共同で、自殺防止プロジェクトを作り、マッポテギョ(麻浦大橋)を「生命の橋」と名付け、自殺を思いとどまるよう、さまざまな防止策を講じました。
橋の欄干には、暖かい言葉が並んでいます。
ご飯は 食べた?
韓国では、身近な人同士のあいさつ言葉です。自殺をする人は、誰も話し相手がいない人が多いため、身近な人が話しかけてくるような言葉がたくさんあります。
24時間つながる命の電話も設けました。
SOS 生命の電話
119は、日本と同じで、救急と消防です。
下のボタンが、「生命の電話」です。
たくさんの暖かい言葉や、友達が語りかけるベンチがあるため、この橋を散歩などで利用する人の間で「ヒーリング橋」と呼ばれるようになりました。
自殺防止のさまざまな活動が行われています。
それでも、自殺を図る人は、なかなか減りません。
6 一番の問題は、恐らく、韓国人が必要以上に周囲の目を気にすることです。
他人と必要以上に比較し、少しでも違うとあれこれケチをつけたり妬んだりします。
ファッションにしても、流行に乗ってないとあれこれ言う人が多くて、それが面倒でうるさいから、自分は流行に乗りたくないけど、あれこれ言われないために、とりあえず流行に乗る人も少なくありません。
歳相応に、いい家に住んで、いい車に乗っていないと、周りがうるさくて面倒だから、それで、無理していい車に乗る人もいますし、中には、大企業に勤めていたのに、周りを気にしながらの生活が嫌で、周りに合わせるのが嫌になって、海外に移民してしまう人もいます。
自分は自分、他人は他人では生きられない、という社会的風潮が社会的弱者を自殺に追いやっている
そんな批判も、このところ聞かれるようになりました。
自殺率世界一、この社会的問題をどう解決すればいいのか。2011年をピークに自殺率は徐々に減っています。