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韓国語能力試験(TOPIK)のレベルとは? 勉強方法を紹介

投稿日:2023年12月14日 | 最終更新日:2024年4月19日

韓国語を学習していると、様々な場所で「韓国語能力試験(TOPIK)」という言葉を見聞きする機会があると思います。「韓国語能力試験」は韓国留学を考えているなら必須の試験ですが、そうではなくても、自分の韓国語レベルを知るために、あるいは力試しで受ける人も多いです。
またよく似た試験に「ハングル検定」があります。ここでは「ハングル検定」と「韓国語能力試験」の違いについて、そして「能力試験」のレベルと効率的な勉強方法についてご紹介します。

目次 ▼

1 韓国語能力試験とは?

『韓国語能力試験』は韓国の教育庁〔日本の文部科学省に当たる〕と国立国際教育院が共催で実施する「韓国語習熟度テスト」です。韓国政府が、韓国語の世界的な普及を目指し、現在世界97か国で実施している、国のお墨付きのテストです。
英語では「Test of Proficiensy in Korea」略して『TOPIK』と言います。日本でも「トピック」と言うことが多いです。

「韓国語能力試験」と「ハングル検定」の違い

「韓国語能力試験(TOPIK)」とよく似た試験に「ハングル検定/ハン検」があります。「ハングル検定」は「ハングル能力検定試験」が正式名称で、日本の財団が主催している「検定試験」です。「英検」の韓国語版と考えるとわかりやすいと思います。

「韓国語能力試験(TOPIK)」も「ハングル能力検定試験」もどちらも6段階です。
初級、中級、上級それぞれ2段階ずつです。

「韓国語能力試験(TOPIK)」はレベルの低い初級から1級、2級、3級、4級、5級、6級で、6級が一番レベルの高い級です。
「ハングル検定」は、レベルの高い上級から1級、2級、準2級、3級、4級、5級で、1級が一番レベルの高い級です。
ちょうど反対になっています。

「ハングル検定」は2023年から、1級の下にインターネットでのみ受験可能な「入門級」が新設されています。

「韓国語能力試験(TOPIK)」の出題形式

「ハングル検定」は級ごとに試験問題が違いますが、「韓国語能力試験(TOPIK)」は「TOPIKⅠ(初級)」と「TOPIKⅡ(中・上級)」の2つのレベルに分かれており、試験の点数によって合格級が決まります。

〔画像出典:韓国語能力試験HP〕
出題はTOEICのように、各項目ごとに易しい問題から難しい問題が並びます。
穴埋め問題が4問、語の並べ替えが4問、会話受け答えが4問と、4問が難易度順になっています。
「TOPIKⅠ(初級)」は「聞き取り」と「読解」、それぞれ100点ずつで合計200点満点。
「TOPIKⅡ(中・上級)」は「聞き取り」と「読解」と「筆記」、それぞれ100点ずつで合計300点満点です。中級以上で筆記の試験が入ります。「筆記」は4問だけですが配点が大きいです。

「韓国語能力試験(TOPIK)」の実施時期

「韓国語能力試験(TOPIK)」は韓国では年に6回実施されます。日本では2023年には年4回でしたが、2024年には年3回実施される予定です。
「ハングル検定」は年に2回、春季6月、秋季11月の実施です。

韓国政府は、韓国語の普及、そして留学生を増やすために、試験会場に行かなくてもインターネットで「韓国語能力試験(TOPIK)」が受けられるよう、2022年より「TOPIK IBT(Internet-Based Test)」というネット受験の試験をスタートしました。初年度の2023年は年に2回の実施でしたが、2024年には3回が予定されています。2024年には海外10か国で受験可能になると発表がありました。国名は発表されていませんが、2024年には日本でも受験可能になると考えられています。
「IBT」が新設されたことにより、これまでの試験は「PBT(Paper-Based Test)」という名称になりました。今後は日本でも「IBT」「PBT」の略称が使われるようになるはずです。

〔画像出典:韓国教育部報道資料〕
上段左から「方式」「回数」「地域」「受付期間」「試験日」「成績発表」
「地域」は一番上だけが「国内」それ以外は「国内・外」です。
試験会場での試験「PBT」が4月、5月、7月、10月、11月、〔日本は4月、7月、10月〕
インターネットの試験「IBT」が3月、6月、9月です。
「IBT」の日本での実施開始時期は未定です。

韓国では「話す能力」を見る試験もスタート

ペーパーテストでは評価できない「話す能力」を見る「TOPIK 말하기평가(話すこと評価)」も2022年よりはじまりました。2023年には年に2回実施され、2024年には3回実施されます。「TOPIK 말하기평가(話すこと評価)」は、韓国でのみ実施されています。海外での実施について正式発表はありません。

2 韓国語能力試験のレベル

初級のレベル

公開されている基準は
1級
・自己紹介、買い物、飲食店での注文など生活に必要な基礎的な言語(ハングル)を駆使でき、身近な話題の内容を理解、表現できる。
・約800語程度の基礎的な語彙と基本文法を理解でき、簡単な文章を作れる。
・簡単な生活文や実用文を理解し、構成できる。
2級
・電話やお願い程度の日常生活に必要な言語(ハングル)や、郵便局、銀行などの公共機関での会話ができる。
・約1,500~2,000語程度の語彙を用いた文章を理解でき、使用できる。
・公式的な状況か非公式的な状況かの言語(ハングル)を区分し、使用できる。

初級レベルとしては必要単語数が多く、「ハングル検定」に比べると1.5倍から2倍近くになります。

学習歴1年半くらいで2級に合格

教室に通う生徒さんたちを見てみますと、学習歴1年半くらいで2級に合格しています。
初級の学習が終わる2年くらいで受験すると、皆ほぼ満点での合格になります。
1級の場合は200点満点で80点が合格です。合格ラインが低いため、勉強をはじめて半年以下でも1級合格は出てます。

教室の学習時間と到達度の目安は、週に1回1時間のレッスンに、宿題等を週に1時間自宅学習すると、
1年で「韓国旅行で役立つレベル」
2年で「まだまだ流暢ではないけどコミュニケーションが可能なレベル」
3年で「日常会話レベル」
人によって差があります。宿題をするかしないかでも差が出ますが、これが標準です。

1年で初級の半分、2年で初級修了、3年で中級のまん中あたりのレベルです。
ですので、1年で1級合格、2年で2級合格、3年で3級合格がおおまかな学習期間の目安になりますが、実際には、それよりも早い段階で皆合格しています。

中級のレベル

公開されている基準では
3級
日常生活を問題なく過ごせ、様々な公共施設の利用や社会的関係を維持するための言語(ハングル)使用が可能。文章語と口語の基本的な特性を区分し理解、使用が可能。
4級
・公共施設の利用や社会的関係の維持に必要な言語(ハングル )機能を遂行することができ、一般的な業務に必要な機能を実行できる。
・ニュースや新聞をある程度理解でき、一般業務に必要な言語(ハングル)が使用可能。
・よく使われる慣用句や代表的な韓国文化に対する理解をもとに社会・文化的な内容の文章を理解でき、使用できる。

中級に入ると、文章語「書き言葉」や、ニュース、新聞、更には慣用句なども学習項目に入ります。様々なジャンルの本を、たくさん読む必要があります。

教室での学習3年で3級合格

教室での学習3年で中級レベルの3級合格です。ちゃんと学べている人は合格しています。
3級までは普通に勉強していれば合格できます。

4級以上のレベルは多くの単語量、読解量、聞き取り練習が必要

4級以上のレベルに合格するには、教室の授業だけでは足りません。たくさんの単語量、たくさんの読解練習、聞き取り練習が必要です。
日本語には「話し言葉」と「書き言葉」があります。例えば、話す時には「選ぶ」と言いますが、書く時では「選択科目」とか「選択肢」とか「選択」と書きます。
韓国語も同じです。「話し言葉」と「書き言葉」があります。中級以上のレベルでは「書き言葉(文章語)」を身に付けなければなりません。「読む」練習が必要になります。
また「筆記(作文)」もありますから書く練習も必要です。

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3 【問題例付き】韓国語能力試験の出題内容

実際の問題を見てみましょう。

聞き取り

「TOPIKⅠ(初級)」の問題例です。

〔画像出典:韓国語能力試験HPより〕※以下全て同じ
音声の内容に続く言葉を選びます。短い応対の会話にします。


会話を聞いて、内容に合う絵を選びます。


会話を聞いて、会話の内容に合うものを選びます。

問題自体は単純ですが、なんとなく聞き流さずに、聞いた韓国語をメモしておくようにしましょう。迷った時にメモがあるかないかは全然違います。

読解

「TOPIKⅠ(初級)」の問題例です。

何に対して述べているか、合うものを選びます。


説明文の内容と合わないものを選びます。


話の順番が合うように並べます。


穴埋め問題と、文章の内容と合っているものを選びます。

読む練習も必要です。少し長い文章もすらすら読めるようにしておきましょう。

筆記

「TOPIKⅡ(中・上級)」の問題例です。

( )に合う文章を書きます。前後関係から文の内容はだいたい決まります。


与えられた課題に対して文章を書きます。課題を見れば内容はほぼ決まります。

「TOPIKⅡ(中・上級)」受験生が最も精神的負担に感じるのが「筆記」です。
しかし、普段から文を書く練習をしていれば、点数を稼げるのが「筆記」です。実は攻略しやすいところです。

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4 韓国語能力試験のメリット

1級から3級は実用性はありませんが、韓国に語学留学するのであれば、現地でのレベルテストの代わりになり、評価されます。
4級以上があれば仕事でも使えるレベルですので、履歴書に書くと評価が上がるかもしれません。
6級に合格すれば「通訳案内士(韓国語)」の韓国語科目試験が免除されます。「通訳案内士」は通称「ガイド試験」と言われる試験です。日本では、語学関連で唯一の国家試験です。

試験を受けるメリット

例え初級レベルでも、試験を受ければ自分の現在位置を知ることができますし、試験を受けることは目標をもって学習するきっかけになります。モチベーションが上がります。
そして合格すればうれしいですから、もっと上を目指そうと思いますし、合格できなかったら、自分の足りないところがわかります。
受けて損はありません。学習をはじめて1年半か2年くらい経ったら、一度試験を受けることをおすすめします。

5 韓国語能力試験の勉強方法

初級の場合特別な勉強は必要ない

1級から3級までは、特別な勉強法はありません。試験は単純な問題ばかりです。引っかけるような問題はありません。勉強をして実力をつければ合格することができるでしょう。
試験の前に、過去問題を1、2回解いて、試験問題の傾向や癖を知っておけば、それで十分です。

試験対策だけで試験に合格しても、話せなかったら意味がない

「能力試験」の3級や4級、時には6級があっても、会話がまったくできない、単語レベルでしか口から出てこない人がいます。会話ができないので、会話力を付けたくて教室に来ますが、初級のレベルから勉強をやり直す必要があります。
韓国語を勉強するなら、はじめから「読む」「書く」「聞く」「話す」4技能をバランスよく学習することをおすすめします。バランスよく上達している人は、会話もできますし、テストでも高得点を出すことが多いです。

4級以上を目指すなら

語彙力も表現力も慣用表現も、たくさんの量が必要です。
と言っても、特別な勉強は必要ありません。
韓国に住み、日本に帰国した人は中級以上に合格しています。居住年数や、どれだけ学習したか、新聞や本を読んだかなどでも違いますが、ちゃんとそれなりのレベルに合格します。
試験対策よりも、基礎の学力をつけることを目指しましょう。

大切なのは本物だけをたくさん見ること

ダイヤモンド鑑定士という職業があります。本物のダイヤモンドか偽物のダイヤモンドかを判別しますが、鑑定士は本物と偽物を区別する訓練はしません。いつも本物だけを見ています。いつも本物を見ているから、偽物を見た時に直感的に偽物とわかります。
ルイヴィトンなどのブランド品の店員さんも同じです。いつも本物だけを見ているので、偽物を見たら直感的に偽物とわかります。
語学も同じです。大切なのはいつも本物を見ることです。偽物を見分ける練習は必要ありません。本物にたくさん接することを心掛けてください。

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監修者

監修者の写真

<出身大学>

新丘大学家庭教育学部

<略歴>

ソウル出身。韓国語教育が専門分野。2006年に来日し、2011年より韓国語教室ハングルちゃんの共同経営者兼主任講師。 生徒たちが積極的に参加しやすい雰囲気を作り、能力を最大限に引き出す指導スタイルが評判。

監修者の写真

内田 昌弘 (うちだ まさひろ)

韓国語教室ハングルちゃん代表

<資格>

通訳案内士韓国語(国家資格)
日本語教育能力検定
高等学校と中学校教員1種免許状(数学)

<出身大学>

京都大学農学部卒業

<略歴>

東京生まれ千葉県育ち。韓国在住(歴)15年、1996年から2006年までの11年間は、韓国最大規模の語学学校(YBM学院)にて日本語部門の教授部長。2011年6月に韓国語教室ハングルちゃんをスタート。