韓国の出生率、少子化は日本以上の危機的状況【2024年最新版】
韓国の出生率は世界最少です。日本も危機的状況ですが、日本以上に深刻です。
ここでは韓国の出生率について、その背景などを詳しくご紹介します。
目次 ▼
- ○ 1 韓国の2023年の出生率は0.72
- ・昨年1年間に生まれた出生児数は10年前の半分強
- ・日本の出生率は2023年に1.20
- ・韓国も2020年に人口減少時代に入った
- ○ 2 結婚しない人が増えていることが一番大きな原因
- ・今年40歳の未婚率は、男性が40.6%、女性が25.2%
- ・予想を上回るスピードで日本の40歳未婚率を追い抜いた
- ・生涯未婚率もどんどん上がっている
- ○ 3 韓国では1970年には出生率が4.53人だった
- ・50年ちょっとの間に大きく変わった
- ・子供を作らない夫婦が増えていることも原因のひとつ
- ○ 4 子供をつくらない理由は子育てにお金がかかりすぎるから
- ・韓国は塾や習い事などにかかる教育費が高い
- ・出生から大学卒業までの養育費は4億ウォン以上
- ・日本の1人当たり養育費は1600万円
- ・韓国の子供の養育費用の負担は日本の2.5倍以上
- ・日本では、子供がいる家庭は3人、4人もよく見かける
- ・韓国では3人以上兄弟がいる家庭はめったにない
- ・特にソウル市内は金銭的に子供をあきらめるケースが多い
- ・子供を育てるのにお金がかかりすぎる
- ○ 5 最近の若者たちはミーイズム
- ・自分の大切なお金や時間を子育てに使いたくない
- ○ 6 子供の数が少なくなり、このままでは国がなくなってしまう
- ・テレビでも子供がたくさんいる家庭がよく出るようになった
- ・テレビに出てくる有名芸能人の家族は違う
- ○ 7 出産祝い金や養育費の援助をする自治体が増えている
- ・実際に育てる費用に比べたら全然足りない
- ・フランスでは子供の養育費を政府が金銭的に支援する
- ○ ※ 韓国語を楽しく学んでみませんか?
1 韓国の2023年の出生率は0.72
またまた過去最低を更新しました。
地域別では、ソウル市が0.55で一番低かったです。
昨年1年間に生まれた出生児数は10年前の半分強
23万人でした。この10年で生まれてくる子供の数が半分近くになっています。急激な減少です。
日本の出生率は2023年に1.20
2019年の1.42から、2021年には1.30に減少、2022年は1.26でした。
日本も減少傾向が続いています。韓国ほどではないですが、日本も危機的状況は同じです。
子供の数が減少しているため、日本は、毎年人口が少しずつ減少しています。
韓国も2020年に人口減少時代に入った
人口自然増加推移
赤が出生時数、青が死亡者数
棒グラフが自然増加
2 結婚しない人が増えていることが一番大きな原因
日本と同じです。私の周りにも結婚していない友人たちがたくさんいます。
今年40歳の未婚率は、男性が40.6%、女性が25.2%
日本は40代前半の未婚率が、男性約30%、女性が約20%です。
予想を上回るスピードで日本の40歳未婚率を追い抜いた
生涯未婚率もどんどん上がっている
左が男性の生涯未婚率、右が女性の生涯未婚率
濃い色線が韓国、薄い色の線が日本、
2025年以降は予想です。
あと10年で男女とも日本に追いつき、そして、一気に追い抜く予想です。
3 韓国では1970年には出生率が4.53人だった
緑が出生児数 黄色が合計出産率
ですので、今の50代は平均4人から5人兄弟です。赤ちゃんの数も年100万人でした。
50年ちょっとの間に大きく変わった
今は1人っ子が普通で、赤ちゃんの数も年間25万人弱しかいません。
結婚しない人が増えたことも原因ですが、結婚はしても、
子供を作らない夫婦が増えていることも原因のひとつ
4 子供をつくらない理由は子育てにお金がかかりすぎるから
お金がないと結婚できませんが、なんとか結婚しても、お金がないから子供を育てることをあきらめます。お金がないのに子供を作るのは無責任だと韓国人は考えます。
韓国は塾や習い事などにかかる教育費が高い
ひとつひとつも高いし、たくさんやらせる必要があります。子供がたくさんほしくても、余程余裕がなければ子供を2人以上持てません。
韓国では、小学校、中学校、高校、大学などの学校以外にかかる教育費用、塾や習い事等の費用を私教育費と言います。韓国はこの私教育費が高いので、子育てにお金がかかります。
出生から大学卒業までの養育費は4億ウォン以上
子女一人当たりの全体養育費用
一番下が「全体(出生後大学卒業まで)」3億896万4千ウォン
これは2018年のデータです。物価も上がっているので、今はもっと上がっているはずです。
為替レートは、平均すると100円=1000ウォンです。
日本の1人当たり養育費は1600万円
私立の学校か、公立の大学か、などでかかる費用は変わりますが、
韓国の子供の養育費用の負担は日本の2.5倍以上
この違いが大きいです。
日本では、子供がいる家庭は3人、4人もよく見かける
むしろ1人っ子は少ない印象です。
韓国では3人以上兄弟がいる家庭はめったにない
ほとんど1人っ子です。もし、お金に余裕がないのに子供がたくさんいたら、子供に満足な教育も受けさせることができないのに子供を作って無責任な親、そういうレッテルで見られることになります。
特にソウル市内は金銭的に子供をあきらめるケースが多い
お金がなくて2人めをあきらめたり、1人めからあきらめている人が多いです。
私の弟夫婦も金銭的な理由から2人めをあきらめました。金銭的と言っても特別お金がないわけではありません。標準的な「共稼ぎのサラリーマン家庭」と言っていいと思いますが、2人の子を塾に通わせたりしながら、きちんと育てるだけの余裕はないと判断したそうです。会社をいつクビになるかもわからない時代ですし、1人の子にできるだけのことをしてあげる、それで精一杯だと言っていました。
子供を育てるのにお金がかかりすぎる
それが、子供が減っている大きな原因です。皆、わかっています。しかし、その解決策を示せる政治家はいません。本当に大事なことなんですけど。
5 最近の若者たちはミーイズム
ミーイズム(미이즘)は韓国製の造語英語です。
「私」を表す「Me」と、「主義」を表す「ism」を合わせて「meism」です。
ミーイズムは直訳すると「私主義」ですが「自分のお金や時間を自分のために使って自分の生活を楽しむ」という意味です。
自己中心的とかエゴイズムのような、人に迷惑をかけるニュアンスはありません。
ミーイズムが今の若者たちのトレンドです。
関連記事 : 最近の韓国の若者文化
自分の大切なお金や時間を子育てに使いたくない
韓国で子供を育てるのは、お金もかかりますが、自分の時間がなくなります。
日本の親の何倍も、韓国の親たちは、子供のために尽くします。
今の若者たちは、子育てに時間を使うより、自分の生活のため、自分の趣味のために時間を使いたいと考えています。
それも、子供を作らない理由です。
関連記事 : 韓国の子育て事情
6 子供の数が少なくなり、このままでは国がなくなってしまう
そんな危機感が広がっています。
テレビでも子供がたくさんいる家庭がよく出るようになった
子供がたくさんいると楽しくて幸せですよ。そんなアピールです。しかし、いくらそんな画面をたくさん見ても、子供をたくさん持つことは不可能です。現実的にお金がありません。
テレビに出てくる有名芸能人の家族は違う
兄弟が2人くらいいることが多いですが、それはお金があるからできることです。一般の韓国人の家族の様子とは違います。
7 出産祝い金や養育費の援助をする自治体が増えている
赤ちゃんを産んだら出産祝い金がもらえたり、小学校入学前の子供に養育費が出るようになりました。
電気代を割り引く自治体もあります。
実際に育てる費用に比べたら全然足りない
子供を育てるのにかかる費用を政府が負担しない限り、韓国では、赤ちゃんを産む人は増えないと思います。子供の私教育にかかる費用を含めて毎月支給する、そのくらいしなければ難しいと思います。
フランスでは子供の養育費を政府が金銭的に支援する
というやり方で、少子化に歯止めをかけることに成功しています。見習うべきだと思いますが、韓国も日本も、なかなかそこまでいきませんね。
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監修者
<出身大学>
新丘大学家庭教育学部
<略歴>
ソウル出身。韓国語教育が専門分野。2006年に来日し、2011年より韓国語教室ハングルちゃんの共同経営者兼主任講師。 生徒たちが積極的に参加しやすい雰囲気を作り、能力を最大限に引き出す指導スタイルが評判。
内田 昌弘 (うちだ まさひろ)
韓国語教室ハングルちゃん代表
<資格>
通訳案内士韓国語(国家資格)
日本語教育能力検定
高等学校と中学校教員1種免許状(数学)
<出身大学>
京都大学農学部卒業
<略歴>
東京生まれ千葉県育ち。韓国在住(歴)15年、1996年から2006年までの11年間は、韓国最大規模の語学学校(YBM学院)にて日本語部門の教授部長。2011年6月に韓国語教室ハングルちゃんをスタート。