韓国の子供(幼児)の育て方事情
韓国でも日本でも親にとって「自分の子供が一番大事」なのは同じです。しかし、韓国のほうがその気持ちが強いように思います。例えば一緒に食事をする時、韓国では子供にいいものを、値段の高いものを食べさせます。たとえ親が安いものを食べても、子供にはいいものを食べさせます。
ここでは、韓国の子供の育て方で、日本と少し違うところをご紹介します。
目次 ▼
- ○ 1 子供の気を殺してはいけない
- ・「気を殺す」というのは、積極性を失わせいじけたようにする
- ○ 2 マンションでも子供たちは駆け回ったり飛び跳ねたりする
- ・マンションの上の階から下の階に響く音のトラブルが大きな社会問題となっている
- ・層間騒音の原因は70%以上が「子供が飛び跳ねること」
- ○ 3 子供の入店を拒否する「ノーキッズゾーン(No Kids Zone)」が増えている
- ・一般のコーヒーショップなどはベビーカーや小さい子供お断りの店が増えている
- ・最近の親は店で子供が騒いでも注意しない
- ・リスク回避の意味で子供を断る食堂が続出
- ・「KIDS CAFE」など子供連れ専用のところも増えている
- ○ 4 子供の背が高くなるよう親が必死
- ・「背が経済力だ」「背がスペックだ」と言われるほど
- ・もし子供の背が低いと、自分の育て方に問題があるのではないかと心配になるね
- ・そんな親たちのための「背 成長クリニック」が増えている
- ・子供の成長が止まる前に、早めにホルモン剤を注射したほうがいいと勧められる
- ・背を高くする健康食品もある
- ・専門の医者たちはよく食べてよく運動して早く寝ることが一番だ
- ○ 5 子供を叱る時の体罰のしかたが日本と違う
- ○ 6 子育てを両親に任せて会社で働く人が増えている
- ・お父さん、お母さんよりも、祖父母になついてしまう場合も多い
- ○ 7 子供の1歳の誕生日には盛大にパーティーを行う
- ○ ※ 韓国語を楽しく学んでみませんか?
1 子供の気を殺してはいけない
日本では、公共の場で騒いでいる子供がいたら、まず親が注意をしますし、見知らぬ人が注意をすることがありますよね。でも、韓国では、親も注意しませんし周りの人が注意することもありません。もし、家族以外の人が自分の子供を注意したら、子供の「気を殺す」と言って、親が怒り出します。
「気を殺す」というのは、積極性を失わせいじけたようにする
そんなニュアンスです。
のびのび育てる邪魔をするな、子供に悪影響を与えるな、ということです。
2 マンションでも子供たちは駆け回ったり飛び跳ねたりする
マンションの上の階から下の階に響く音のトラブルが大きな社会問題となっている
上の階から下の階に響く音を韓国では「層間騒音(층간소음)」と言います。
騒音がひどい場合、直接文句を言う人も少なくないのですが、そこでけんかになることも少なくありません。そして、それが積もり積もって、殺人事件に発展することもあります。
層間騒音の原因は70%以上が「子供が飛び跳ねること」
マンションの音トラブルの相談件数は、年間4万件を超えていますが、その72%は子供の飛び跳ねです。
下の階のことは考えずに子供はぴょんぴょん飛び跳ねます。今の親たちは、子供が部屋で飛び跳ねても騒いでもやめさせることはしません。子供のやりたい放題にさせています。
3 子供の入店を拒否する「ノーキッズゾーン(No Kids Zone)」が増えている
あちこちに「キッズカフェ」がありますが、
一般のコーヒーショップなどはベビーカーや小さい子供お断りの店が増えている
「ノーキッズゾーン(노키즈존、No Kids Zone)」とか「ノーキッズカフェ(노키즈카페、No Kids Cafe)」とか、あるいは「ノーキッズ食堂(노키즈식당、No Kids 食堂)」と言います。この言葉は2014年ころから急速に使われ始めた言葉で、それまではなかった言葉です。
最近の親は店で子供が騒いでも注意しない
騒いでいる子供に対して店員が親に注意すると、親は逆ギレします。店員に対し、不当な謝罪を求めることもあり、店としてはリスク回避のために子供連れを断るしかありません。
子連れの客が店を相手取って裁判を起こすこともあります。
お湯を入れたコップを持った従業員に、走り回る子供がぶつかりやけどをしたり、子供が不注意で店内の物にぶつかりけがをした時、裁判では店側の責任70%、親の責任30%くらいの判決が出ます。
こんなことで高い賠償金を払わされたのでは店側は営業できないので、
リスク回避の意味で子供を断る食堂が続出
すみません。小学生までの子供の入場を制限します。
そして、焼肉屋などで多いのですが、店の前に、具体的に「NO KIDS」などと書いていなくても、子供用のイスなどをなくすことで「ここは子供お断りだな」とわかるようにしている所も多いようです。
また、スターバックスなど「若い人たちの場所」というイメージが強いところへ、ベビーカーや小さい子供を連れて行く韓国人は元々いません。
カフェや食堂だけでなく、映画館でもノーキッズゾーン(No Kids Zone)のところが増えています。
子連れの人たちは、「これでは行き場がない」「差別だ」と言っていますが、子連れの親の考え方や態度が変わらない限り、今後もこの傾向は変わらないと思います。
「KIDS CAFE」など子供連れ専用のところも増えている
「KIDS CAFE」など子供連れ専用のところと、「NO KIDS」という子供連れ禁止のところと、どちらかにはっきり分かれてきています。
4 子供の背が高くなるよう親が必死
韓国では、背が高いことはとても大事です。
「背が経済力だ」「背がスペックだ」と言われるほど
親は子供の背が高くなるよう頑張ります。
もし子供の背が低いと、自分の育て方に問題があるのではないかと心配になるね
背伸ばし熱風 食べすぎても伸びません
そんな親たちのための「背 成長クリニック」が増えている
背成長クリニックは、病院もありますし、韓医院(漢方の病院)もあります。
子供の成長が止まる前に、早めにホルモン剤を注射したほうがいいと勧められる
もちろん子供は注射を嫌がりますが、親は子供のためを思って注射します。多くは、病院で注射針も処方されるので、自宅で自分で子供に注射します。親としてできるだけのことを子供にしなかったら親として失格だという焦りが韓国の親にはあります。今、成長ホルモン注射剤は年間1000億ウォン規模の大きな市場となっています。ホルモン注射は保険が利かないので、1年で1000万ウォンくらいかかるそうです。
背を高くする健康食品もある
今、韓国で一番売れている「子供の背を伸ばす」サプリメントです。子供の背が伸びると聞けば、例え高額でも親は払います。「子供の背を伸ばす」市場は、どんどん規模が大きくなっています。
専門の医者たちはよく食べてよく運動して早く寝ることが一番だ
特に成長ホルモンの分泌が活発になる夜9時前に寝ることが一番大事だそうです。
しかし、背が低い子を持つ親は、何もしないわけにはいかず、わらをもつかむ思いでクリニックに通っています。クリニックに通いホルモン注射をして実際に子供の背が伸びることが多いのですが、しかしそれがホルモン剤のおかげなのか、元々背が伸びる時期だったのか、それは誰にもわからないことなんです。
日本の小児科では、親が焦らないように、よほど小さかったりしないと、心配しないよう言ってくれますが、韓国では大きくないとダメなんです。
5 子供を叱る時の体罰のしかたが日本と違う
最近の親は、あまり叱らないですけど。
6 子育てを両親に任せて会社で働く人が増えている
韓国では、子供が生まれても共働きをする夫婦が増えています。以前は、妊娠、出産をする時に、女性は会社をやめるのが一般的でしたが、最近は法律で育児休暇の権利を認めているため、大企業では育児休暇のあと、会社に復帰しやすくなりました。しかし、会社に戻ると言っても、子供はまだ小さいです。保育園に預けても夜遅い時間までは難しいです。
お父さん、お母さんよりも、祖父母になついてしまう場合も多い
そんな、お母さん代わりのおばあちゃんを「ハルマ(할마)」、お父さん代わりのおじいちゃんを「ハルバ(할빠)」と言います。
7 子供の1歳の誕生日には盛大にパーティーを行う
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監修者
<出身大学>
新丘大学家庭教育学部
<略歴>
ソウル出身。韓国語教育が専門分野。2006年に来日し、2011年より韓国語教室ハングルちゃんの共同経営者兼主任講師。 生徒たちが積極的に参加しやすい雰囲気を作り、能力を最大限に引き出す指導スタイルが評判。
内田 昌弘 (うちだ まさひろ)
韓国語教室ハングルちゃん代表
<資格>
通訳案内士韓国語(国家資格)
日本語教育能力検定
高等学校と中学校教員1種免許状(数学)
<出身大学>
京都大学農学部卒業
<略歴>
東京生まれ千葉県育ち。韓国在住(歴)15年、1996年から2006年までの11年間は、韓国最大規模の語学学校(YBM学院)にて日本語部門の教授部長。2011年6月に韓国語教室ハングルちゃんをスタート。