韓国の幼稚園、保育園事情【2024年最新版】
小学校入学前の小さい子供を預かるところに、『幼稚園(유치원・ユチウォン)』と『子供の家(어린이집・オリニチプ)』があります。
『幼稚園』は、日本の幼稚園とだいたい同じで、『子供の家』は、大きいのが日本の保育園、小さいのが日本の託児所に近いです。
基本のシステムは似ていますが、しかし、日本とは違うところも多いです。
目次 ▼
- ○ 1 幼稚園は日本の幼稚園とだいたい同じ
- ・ひとクラスは平均20人くらい
- ・費用は国から補助が出る
- ・昼ごはんは給食
- ○ 2 英語幼稚園が人気
- ・クラスは、ネイティブの先生と英語のできる韓国人の先生が2人で担任する所が多い
- ・英語幼稚園がどんどん増えている
- ・教習費は毎年どんどん上がっていて月平均で100万ウォン以上
- ○ 3 「子供の家」は満ゼロ歳から預かってくれる
- ・韓国ではたくさんあって、足りないということはない
- ・マンションでは、自分の家の一室を子供の家として運用している
- ・子供の家を開くのは、それほど難しくない
- ・幼児虐待などがテレビのニュースによく出てくる
- ・費用は毎年上がっている
- ○ 4「嬰児園(영아원)」「保育園(보육원)」
- ○ 5 少子化で幼稚園がどんどん倒産している
- ○ ※ 韓国語を楽しく学んでみませんか?
1 幼稚園は日本の幼稚園とだいたい同じ
満4歳から6歳くらいの子供が行く所で、日本の幼稚園とだいたい同じですが、都市部では園庭がないところが多いです。あってもとても狭いです。「毎日はだしで元気に遊びましょう」という幼稚園はありません。
ひとクラスは平均20人くらい
絵を描いたり、紙で工作したり、ハングルや九九を習ったり、英語を習ったりします。
日本とだいたい同じですが、日本より勉強の比重が高いかなと思います。
遠足もあります。ソウルなら「子供大公園」とか「ロッテワールド」とかも行きます。
費用は国から補助が出る
平均で月に約44万ウォンで、国から補助が28万ウォン出ます。ですので自己負担16万ウォンになります。しかし、実際には、教材費とか特別活動費とか、様々な追加費用があります。
昼ごはんは給食
お弁当が必要な幼稚園や「子供の家(保育園)」はありません。
2 英語幼稚園が人気
子供が小さいうちから英語を習わせます。
クラスは、ネイティブの先生と英語のできる韓国人の先生が2人で担任する所が多い
子供が英語に興味があれば、確実に効果はあるそうです。
英語幼稚園がどんどん増えている
2014年には306か所でしたが2017年に474か所、そして2022年には811か所と急増しています。
一般の私立幼稚園が少子化の影響で2017年に4282か所だったのが、2022年には3446か所と、5年の間に20%近く減ったのとは対照的です。
教習費は毎年どんどん上がっていて月平均で100万ウォン以上
もし、子供2人を通わせたら幼稚園費だけで月に20万円です。それでも、子供のために少し無理してでも通わせようという親が増えています。2000年代はじめには「英語幼稚園」があるのは裕福なソウルの江南地区だけでしたが、今では韓国どこでもあります。
金銭的に余裕のある家庭に生まれた子供は、韓国では教育水準も高くなります。
3 「子供の家」は満ゼロ歳から預かってくれる
大きい「子供の家」が日本の保育園、小さい「子供の家」が日本の託児所のような感じかと思います。
日本では、保育園が足りないということを、よくニュースなどでやってますが、
韓国ではたくさんあって、足りないということはない
例えば、高層マンション団地(아파트단지)に行けば、あちこちに子供の家を見ることができます。窓に子供用の飾りがあるのですぐわかります。
マンションでは、自分の家の一室を子供の家として運用している
韓国には、単独の建物の大きな子供の家もありますが、部屋一つで運営している小さな子供の家がたくさんあります。マンションの一室で運営すれば、家賃などの経費が出ません。
また、子供の家には国から補助金が出ますから、子供好きならば、土日は休みだし、いい商売です。
子供の家を開くのは、それほど難しくない
保育教師2級の資格と保育教育の経験が2年あれば、誰でも20名以下の子供の家を開くことができます。保育教師2級は、大学で幼児教育を専攻するか資格試験を受ければ取れます。資格試験は、1年くらい勉強すれば誰でも簡単に取れます。そのくらい簡単に子供の家の経営者になれます。だから、数がたくさんあります。
幼児虐待などがテレビのニュースによく出てくる
以前、子供の家に預けた初日の、わずか2時間後に、脳死になった赤ちゃんのニュースがありました。保育士が赤ちゃんの扱いに未熟だったようです。事故のニュースもよく出るので、子供の家に子供を預けることに、親は皆、少なからず不安があります。
でも、共働きの夫婦は、それでも子供の家に預けるしかないので、仕方なく預けています。今は、監視カメラ(CCTV)の設置が義務になっているので、ちょっとでも子供の様子がおかしい時は、カメラの映像を確認します。でも、カメラには死角があるんですよね。
一時よりは減りましたが、保育士が子供を虐待していた事件のニュースが、今でもあります。
費用は毎年上がっている
2022年の平均で、年齢によって差がありますが、0歳から5歳全部の平均で、月に76万ウォン、ここに国から28万ウォンの補助が出ますので48万ウォンになります。そして、ここに、行事費や特別活動費など、プラスのお金がかかります。この3年で20%上がりました。
4「嬰児園(영아원)」「保育園(보육원)」
韓国にも「保育園」という名称の施設がありますが、日本で言うと「孤児院」とかの「児童福祉施設」です。
親がいなかったり、捨てられたり、あるいは、親に育てる能力がない、親に虐待されている、そのような子供が入所する施設です。
0歳から満3歳までは「嬰児園(영아원)」と言い、その後、満18歳までが「保育園(보육원)」です。
5 少子化で幼稚園がどんどん倒産している
子供の数が急激に減っているため、幼稚園も経営が成り立たない幼稚園が増えています。
幼稚園から老人介護施設に切り替えたり、あるいは、「英語幼稚園」は増えているので、「英語幼稚園」に切り替える所も少なくありません。
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監修者
<出身大学>
新丘大学家庭教育学部
<略歴>
ソウル出身。韓国語教育が専門分野。2006年に来日し、2011年より韓国語教室ハングルちゃんの共同経営者兼主任講師。 生徒たちが積極的に参加しやすい雰囲気を作り、能力を最大限に引き出す指導スタイルが評判。
内田 昌弘 (うちだ まさひろ)
韓国語教室ハングルちゃん代表
<資格>
通訳案内士韓国語(国家資格)
日本語教育能力検定
高等学校と中学校教員1種免許状(数学)
<出身大学>
京都大学農学部卒業
<略歴>
東京生まれ千葉県育ち。韓国在住(歴)15年、1996年から2006年までの11年間は、韓国最大規模の語学学校(YBM学院)にて日本語部門の教授部長。2011年6月に韓国語教室ハングルちゃんをスタート。