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韓国の暮らし 7【生活習慣・一般常識・軍隊】

韓国の軍隊事情、兵役について【2024年最新版】

投稿日:2022年10月18日 | 最終更新日:2024年3月4日

韓国では、BTSのメンバーもK-POPのアイドルたちも、健康な男性は、皆、軍隊に入ります。
ここでは、徴兵検査、免除基準、いつ兵役に行くのか、その期間、軍隊の種類、訓練内容、勤務内容、一日の生活、給与、休暇、軍隊内でのいじめ等、兵役に関するすべてをご紹介します。

目次 ▼

1 韓国では、健康な男子は兵役が義務[国民役]

最近は女性の社会進出が進んでいます。職場では男女平等なのになぜ男性だけに兵役義務があるのか、これは逆差別だという声も聞かれるようになっています。

軍隊の入隊時期は満20歳から28歳まで

以前は満30歳まででしたが現在は28歳までとなっています。
一般的には、大学に入学後1年から2年後に休学して入隊する場合が多いです。遅く入隊すると体力的にきつくなりますし、上官が年下になるという心理的な葛藤が生まれるからです。韓国では年齢の上下は重要です。

満19歳になると徴兵検査を受ける

兵役判定検査の結果に応じて1級から7級の身体等級に分けられます。
1級から3級は現役
4級は補充役
5級は戦時勤労役
6級は兵役免除
7級は判定不可で再検査です。
現役は一般の兵役につきます。
補充役は、やせすぎや太りすぎ、低学力(低学歴)などの理由で、軍勤務が全く無理ではないですが、通常は他の業務で代替をします。そして現役の人数が足りない場合に軍勤務に編入します。
戦時勤労役は、一般軍勤務は不可能なため事実上の兵役免除ですが、戦時には徴兵されます。

徴兵検査、身体検査の結果、10%ちょっとが兵役免除になる

免除の条件は
・身長146cm以下
・酒や薬で中毒症状がある者
・性転換をした者
・外国から韓国に帰化した者
・扶養家族のいない孤児
・自分1人で生活のできない者
・コンクール優秀成績者
・障害等級1級~3級、
・日常生活に支障のある疾患者
・その他身体や精神的状況によって判定

大財閥の子息は兵役免除率が35%くらい

つまり、約3人に1人が『兵役逃れ』をしています。政治家の子息もそうですが、権力者やお金持ちが『兵役逃れ』をしているというのは韓国では常識です。
これでも以前に比べるとだいぶ減っていますけど。

芸術や体育の分野で国威宣揚あるいは芸術暢達に寄与した特技生は「芸術体育要員」

特技生は各自がその分野で励みます。つまり軍の勤務は免除です。体育分野ではオリンピックでメダルを取る等、基準があります。しかし、大衆芸術は芸術特技生に入りません。ですので、BTSは免除の基準を満たさないため、特別に免除すべきか議論になりましたが、結局法改正等はせず入隊となりました。

大衆芸能の芸能人の場合は軍隊と言っても一般の兵士ではない

演芸兵士と言って、あちこちの部隊で開かれる慰労目的のコンサートなどに出演するだけで、一般的な軍の勤務は行いません。その上一般の兵士より休暇も2倍以上多いため、公平性の面で問題があるのではないかとテレビなどでも時々取り上げられています。

2「軍隊に入る」というのは一般的には陸軍

海軍、空軍、海兵隊は志願制

海兵隊は訓練も厳しく、勤務も大変ですが、自ら海兵隊に志願するというのはそれだけの責任感があるということで、社会に出てからもそれなりに認められる存在となります。しかし、海兵隊に志望しても面接や健康診断などでふるいにかけられ、合格率は20%くらいです。

軍隊の勤務期間は陸軍が18か月

海兵隊も18か月、海軍20か月、空軍22か月、社会服務要員21か月です。
補充役は、通常、社会服務要員として自宅からの通い勤務になります。社会服務要員は、主に役所などで公務員の仕事をします。

3 軍隊入隊後、まず訓練所で基本のトレーニングを受ける

陸軍の場合、5週間が訓練期間です。2週間は講義、3週間が実地です。

基本の戦闘技術を身に着けるのが目的

銃の使い方や管理のしかた、警戒のしかた、戦闘のしかた、20kgの装備を背負って20kmの行軍訓練等です。

実弾の射撃訓練もある

これは軍隊でしか経験できません。
手りゅう弾の訓練もありますが、手りゅう弾は本物を爆発させることはしません。

4 訓練終了後、所属の部隊に配属される

配属はどこになるかわかりません。部隊は、大部分韓国の北のほうにあるので38度線近くに配属になる人が多いですが、そうでない部隊になる人もいます。38度線に近い江原道(カンウォンド)の山のほうに配属になると、冬は寒くマイナス30度近くになることもあります。雪がたくさん降るので雪かきだけでも大変です。逆に、運転兵といって、トラックなど車の運転をする兵になると、一般の兵士より勤務はかなり楽です。配属はすべて運です。

5 主な任務は『警戒』

つまり「見張り」です。
軍隊には、高度な技術や知識を必要とする部隊や兵士もいますが、そのような部隊や兵士は職業軍人たちです。
兵役で勤務する場合は、高度な知識や技術がなく、また経験もないので『警戒』勤務となります。単純な勤務ですが重要な任務です。

24時間の監視体制

韓国の軍隊は、北の侵入を防ぎ国を守るのが目的です。怪しい動きがないか常に監視しています。
そして北からの侵入があった場合には、その場で戦闘態勢に入ります。
実際にはそのような場面はほとんどありませんが。

6 軍隊での生活スケジュール

軍隊の生活は各部隊によって若干の差がある

6時起床
7時に朝の点呼、そのあと朝食
12時~13時 昼食
17時30分~18時30分 夕食
18時30分~21時30分 個人整備時間(休憩時間)
21時30分 夜の点呼
22時 就寝

携帯電話の所持と使用は、個人整備の時間(休憩時間)のみ認められている

しかし、今後は24時間所持可能としていく方針です。所持が可能といっても、いつでも自由に使えるわけではなく、勤務時間中の使用には制限がかかります。

食事は、味はともかく、お腹はいっぱいになる

食事も以前に比べるとかなり改善されています。

7 勤務は基本週5日で休暇や面会が認められている

夜間勤務や連続勤務、また緊急事態などもあり、必ずしも土日が休みとはなりません。しかし、休みの日にちは確保されます。

休暇は、陸軍の場合1年6か月で24日

所属の部隊にもよりますが、入隊後6か月過ぎると休暇を取ることができます。もちろん許可が必要です。外出や外泊も許可をもらえばできますが、外出だけでも休暇1日消化、外泊で休暇2日消化になります。

家族の面会は、軍の施設内で1週間から2週間に1回程度許可される

部隊によって面会室は違います。

8 軍に勤務すると給与がもらえる

給与は、陸軍に入りたての兵士(二等兵)が、
2024年には、月の給与72万ウォン、ここに政府支援金が40万ウォン、合わせて112万ウォンがもらえます。
勤務期間に応じて階級が上がれば給与も上がり、除隊する時には
兵長として月の給与125万ウォンに政府支援金40万ウォン、合わせて165万ウォンになります。
2025年には更に上がり、二等兵が月の給与86万ウォンに政府支援金55万ウォン、合わせて141万ウォン。
兵長が月の給与150万ウォンに政府支援金55万ウォン、合わせて205万ウォンになります。
給与の金額は毎年どんどん上がっています。20年前には入隊したての兵士の月給は1万ウォンとかでしたから隔世の感があります。
※政府支援金は「明日の準備支援金(내일 준비 지원금)」という名称で、銀行口座に積立金として毎月入金されます。

陸軍の勤務期間18か月で総額2500万ウォンほどになる

軍にいる間はそもそもお金をほとんど使わないので、除隊するまでにけっこうな額の貯金ができます。

軍隊に入隊中の生活必需品は、以前は支給された

以前は、たばこから夜食用のインスタントラーメン、洗面用具やひげそり、皆、支給品として、かなり支給されました。ですので、軍隊に入るというのは、体ひとつ持って行くということでしたが、今は、スマホの持ち込みもOKになり、またコロナの影響もあり、身の回りの物は全て自分で準備して入隊します。今は支給品ではなく、給料としてお金でもらうようになりました。

9 軍隊へのスマホの持ち込みが許可され、軍隊生活は大きく変わった

2020年7月から許可されました。
今、軍隊に行くというのは、自由に外に出られないというのがストレスで、以前のように外部と完全に遮断された場所でプライバシーもなく、訓練が厳しく肉体的にきついとか、理不尽な命令をしたり暴力をふるう上官がいて精神的、肉体的に耐えられないとか、そういうことはありません。

10 以前は上官からの理不尽な命令や暴力は当たり前だった

しかし、2000年代に、いじめや暴力に悩んだ兵士の自殺が相次いでマスコミで報道され社会問題になったことや、また、人権尊重の時代になったこともあり、今では軍隊内でのおおっぴらな暴力や、あからさまに理不尽な命令はほとんどなくなりました。各部隊には定期的に行政機関から調査が入り、聞き取り調査も行われています。
しかし、それでも、様々な嫌がらせはなくならず、むしろ隠れて行われるようになり、軍隊内でいじめを苦にして自殺したというニュースは、今も時々ニュースで出ます。

11 以前に比べて軍隊での勤務期間は大幅に短縮された

陸軍は、今は1年6か月ですが20年前には2年2か月、1970年代には3年3か月でした。また、勤務自体も楽になっています。なにより、今は外部といつでも連絡ができるスマホも持ち込めます。
しかし「これでは、いざ本当に戦争になった時に、軍隊としてまったく役に立たないのではないか」という専門家の意見も多くなっています。

韓国では、急激な少子化が進んでいて子供の数が減っている

このまま子供の数が減って行くと軍隊を維持できなくなるため、軍勤務の期間を延ばそうという議論が始まっています。

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監修者

監修者の写真

<出身大学>

新丘大学家庭教育学部

<略歴>

ソウル出身。韓国語教育が専門分野。2006年に来日し、2011年より韓国語教室ハングルちゃんの共同経営者兼主任講師。 生徒たちが積極的に参加しやすい雰囲気を作り、能力を最大限に引き出す指導スタイルが評判。

監修者の写真

内田 昌弘 (うちだ まさひろ)

韓国語教室ハングルちゃん代表

<資格>

通訳案内士韓国語(国家資格)
日本語教育能力検定
高等学校と中学校教員1種免許状(数学)

<出身大学>

京都大学農学部卒業

<略歴>

東京生まれ千葉県育ち。韓国在住(歴)15年、1996年から2006年までの11年間は、韓国最大規模の語学学校(YBM学院)にて日本語部門の教授部長。2011年6月に韓国語教室ハングルちゃんをスタート。