韓国語の漢字勉強法/読み方がふたつ以上ある漢字
韓国語の単語の学習は、元が漢字の言葉をいかに効率よく学習するか、ここにかかっていると言っても過言ではありません。効率よく漢字を学習していきましょう。
韓国語では、漢字の読み方は、ひとつの漢字に原則ひとつしかありません。日本のように読み方がたくさんないのでとても覚えやすいです。まず、その基本の読み方をしっかり覚えましょう。そして、例外をおさえていきましょう。例外のひとつは「読み方がふたつある漢字」、そしてもうひとつは「語頭の ㄹ が脱落したり ㄴ になる漢字」です。このふたつの例外をおさえることです。
ここでは「読み方がふたつ以上ある漢字」のうち、必ず覚えておくべき漢字をレベル別に一覧にしました。そして「語頭の ㄹ が脱落したり ㄴ になる漢字」も一覧にしてありますので、ぜひ活用して、効率よく漢字の学習をしてください。
目次 ▼
- ○ 1 韓国語の漢字はどうなっているか
- ・単語の70%は元々漢字語です。
- ・漢字語の意味、使い方は日本語とほとんど同じです。
- ・発音も似ているものが多いです。
- ・単語を覚える時に、漢字語は漢字もいっしょに覚えましょう。
- ・「音読み」と「訓読み」がありますが、「訓読み」の意味が日本と違います。
- ○ 2 読み方がふたつ以上ある漢字
- ・初級レベル
- ・中級レベル
- ・上級レベル
- ○ 3 漢字語の語頭の ㄹ は脱落したり ㄴ になる。
- ○ ※ 韓国語を楽しく学んでみませんか?
1 韓国語の漢字はどうなっているか
1990年代以前は、新聞にもたくさんの漢字が使われていましたが、現代の韓国では全てハングル表記で漢字を使いません。学校でもほとんど習いません。そのため漢字を知らない人も多く、自分の名前の漢字さえも書けない人がたくさんいます。
ちなみに、以前は日本のように新聞は縦書きでした。今は全て横書きです。
単語の70%は元々漢字語です。
韓国語の全ての単語のうち、語源が漢字語のものが約70%と言われています。これは日本と同じです。日本でも単語の約70%は漢字語と言われています。
漢字語の意味、使い方は日本語とほとんど同じです。
日常よく使う言葉の中に違うものが多いですが、専門的な言葉は全く同じです。「経済」も「政治」も「演説」も「電話」も「悲観的」も「一石二鳥」も、意味も使い方も同じです。
90%以上の漢字語が日本の漢字語と全く同じです。違うのは読み方だけです。
発音も似ているものが多いです。
日本の漢字も韓国の漢字も、元は中国語から来ていますから、読み方は似ています。たとえば、「一」は「일(イル)」「二」は「이(イ)」、「三」は「삼(サム)」、「家具」は「가구(カグ)」、「道路」は「도로(ドロ)」、ほとんど同じものもあって、とても覚えやすいです。
単語を覚える時に、漢字語は漢字もいっしょに覚えましょう。
例えば「회사(フェサ)」、会社という意味ですが、「회(フェ)」が「会」で、「사(サ)」が「社」です。ですので、順序をひっくり返すと「사회(サフェ)」、社会です。漢字の読み方を覚えると、単語量が一気に増えます。
と言って、漢字の読み方だけをまとめて全部覚えるのは大変です。普通の人には無理です。そんなに一度に頭に入りません。ですので、単語を覚える時に、漢字語は漢字の読み方をいっしょに覚えましょう。ある程度覚えたところで、漢字の読み方を整理するといいと思います。漢字の読み方を覚えれば、韓国語の単語の70%を覚えたことになります。
「音読み」と「訓読み」がありますが、「訓読み」の意味が日本と違います。
韓国でも漢字は同音異義語がたくさんあります。たとえば「高」も「故」も「苦」も「考」も読み方は「고(コ)」です。ですので、漢字の「高」と言いたい時は、どの「고(コ)」か説明しなければなりません。日本では「高いの高」と言う人が多いと思いますが、韓国では「높을 고(ノツプルコ)」と言います。日本語にすると「高いの高」です。どの漢字かの説明のしかたが日本では人によってばらばらですが、韓国では決まっています。それが「訓読み」です。
「高」であれば「높을 고(ノツプルコ)」の「높을(ノツプル)」の部分です。日本語にすると「高いの高」の「高いの」に当たります。「読み」というより「説明のしかた」が「訓読み」です。そして「音読み」は、その漢字の読みです。「高」なら「고(コ)」です。
韓国語の漢字を学習する時に「訓読み」まで覚えとおくとあとあと便利ですが、はじめはそこまで覚える必要はありません。「音読み」だけで大丈夫です。
2 読み方がふたつ以上ある漢字
朝鮮時代まで漢字の読み方はたくさんありました。しかしそれでは煩雑なので、できるだけ漢音(正音)に統一しようということで、読み方は原則ひとつになりました。しかし、四字熟語や言葉として定着しているもの、あるいは、意味によって読み方の違うものもあり、それらは例外的にそのまま残しました。そのため、読み方がふたつ以上ある漢字がけっこうあります。80以上あると言われています。しかし、日常使う漢字の中で読み分けが必要なものは20ほどしかもありません。ですので、その少ない例外的な読み方をしっかり覚えておきましょう。そうすれば、あとは全部、基本の読み方でOKです。
初級レベル
1【不】
부 부도(不渡:不渡りのこと)、부족(不足)、
불 불만(不満)、불편(不便)
「ㄷ」「ㅈ」が続く時「부」、それ以外は「불」です。
2【車】
차 자동차(自動車)、유모차(乳母車:ベビーカーのこと)
거 자전거(自転車)、인력거(人力車」)、정거장(停車場:停留所のこと)
人が動かす車は「거」と読みます。「유모차(乳母車)」は例外です。「정거장(停車場)」は「정류장(停留場)」とも言います。「정류장(停留所)」のほうが新しい言葉です。
3【便】
변 변비(便秘)、대변(大便)
편 편리(便利)、남편(男便:夫のこと)、편의점(便宜店:コンビニのこと)
排泄物の意味で「변」、便利、好都合の意味で「편」
4【金】
금 금속(金属)、금요일(金曜日)、금강산(金剛山:地名)
김 김(韓国の姓のひとつ)、김포공항(金浦空港:地名)
元々は姓も「금」でした。しかし、朝鮮時代の王は姓が李で、「金(Gold)」という姓は「李」より立派でけしからん、ということで読み方を「김」に変えさせました。地名には「김」も「금」もあります。比較的新しい地名か古い地名かわかります。
中級レベル
5【楽】
락 오락실(娯楽室:ゲームセンターのこと)、낙관적(楽観的)
악 음악(音楽)、악기(楽器)
「楽しい」とか「楽」の意味で「락」、「音楽」の意味で「악」です。
「락」は後述する「語頭のㄹがㄴになる漢字」なので、語頭に来た時「낙」になります。
6【易】
이 용이(容易)、간이(簡易)
역 무역(貿易)、교역(交易)
易しいという意味で「이」、変えるとか取り換える意味で「역」です。
7【悪】
악 악마(悪魔)、악화(悪化)
오 오한(悪寒)、증오(憎悪)、혐오감(嫌悪感)
「悪い」意味では「악」です。「오」と読むのは、よくないことを強調する「ひどく」という意味で、このみっつを覚えておきましょう。
8【復】
복 왕복(往復)、복원(復元)
부 부흥(復興)、부활(復活)
戻る、帰るという意味で「복」、再びの意味で「부」と読みます。「부」と読むのは、このふたつくらいです。しっかり覚えておきましょう。
9【画】
화 화가(画家)、화면(画面)
획 기획(企画)、획기적(画期的)
「絵」の意味で「화」、「企てる」意味で「획」です。日本語では同じ漢字ですが、韓国では「絵」の意味は「畫」、「企てる」意味で「劃」です。「畫」を「企てる」意味でも使います。
10【殺】
살 살인(殺人)、자살(自殺)
쇄 상새(相殺)、쇄도(殺到)、망쇄(忙殺)、뇌쇄(悩殺)、
「殺す」意味では「살」です。「쇄」と読むのは「減らす」意味と程度が甚だしいという場合です。「뇌쇄(悩殺)」は例外です。元々は「뇌살」でした。
11【省】
성 반성(反省)、귀성(帰省)
생 생략(省略)
かえりみる、みまう意味で「성」、はぶく意味で「생」ですが、「省」を使った言葉自体がこのみっつくらいです。このみっつをしっかり覚えておきましょう。
12【更】
경 변경(変更)、경정(更正)、경신(更新:記録の更新)
갱 갱신(更新:免許証などの有効期限の更新)、갱년기(更年期)
変える、変わるの意味で「경」、さらに、あらたまるの意味で「갱」です。「갱」と読む「免許の更新」と「更年期」、このふたつをしっかり覚えておきましょう。あとは全て「경」です。
13【暖】
난 난방(暖房)、온난화(温暖化)
란 한란계(寒暖計)
例外的に「란」と読む「寒暖計」を覚えておきましょう。あとは全て「난」です。
14【率】
률 능률(能率)、확률(確率)、
율 비율(比率)、효율(効率)、환율(換率:為替レートのこと)
솔 솔직(率直)、인솔(引率)
割合の意味で「률」、ひきいる、ありのままの意味で「솔」です。「률」は語頭で「율」になりますが、パッチムのない語とパッチムㄴのあとでも「율」になります。
15【状】
상 상태(状態)、상황(状況)
장 상장(賞状)、연하장(年賀状)
ようすの意味で「상」、書いたものは「장」
16【切】
절 절단(切断)、간절(懇切)
체 일체(一切)
切る、ていねい、ひたすらの意味で「절」、すべての意味で「체」ですが、「체」と読むのは「일체(一切)」くらいしかありません。
17【暴】
포 횡포(横暴)、자포가기(自暴自棄)
폭 폭력(暴力)、폭로(暴露)
さらす意味では「폭」ですが、荒い、暴れる意味ではどちらも使います。使い分けは慣用です。
18【識】
식 지식(知識)、유식자(有識者)
지 표지(標識)
知ることは「식」、印は「지」ですが、「지」は「표지(標識)」くらいしかありません。
19【茶】
다 다도(茶道)、다과(茶菓)、다갈색(茶褐色)
차 녹차(緑茶)、홍차(紅茶)
作法や色は「다」、飲み物は「차」
20【糖】
당 당분(糖分)、당뇨병(糖尿病)
탕 사탕(砂糖:キャンディーのこと)、설탕(雪糖:砂糖のこと)
水に溶ける甘みのある炭水化物は「당」、あめ(キャンディー)や砂糖は「탕」
21【宅】
댁 시댁(媤宅:夫の実家のこと)、댁내(宅内)
택 주택(住宅)、택배(宅配)
使い分けは慣用です。
上級レベル
22【北】
북 북극(北極)、남북(南北)
배 패배(敗北)
実際の北は「북」、抽象的な意味で「배」(負けて北に逃げたという故事から)ですが、「배」は「패배(敗北)」くらいしかありません。
23【降】
강 강수량(降水量)、승강기(昇降機:エレベーターのこと)
항 항복(降伏)
例外的に「항」と読む「降伏」を覚えておきましょう。あとは全て「강」です。
24【見】
견 견학(見学)、발견(発見)
현 알현(謁見)
例外的に「현」と読む「謁見」を覚えておきましょう。あとは全て「견」です。
25【分】
분 분수(分数)、몇시몇분(何時何分)
푼 〇할〇푼(〇割〇分)
野球の打率などの「割・分・厘」の時と昔のお金の単位は「푼」
26【説】
설 설명(説明)、소설(小説)
세 유세(遊説)
説き明かす、考えを述べる、意見、考え、話、物語の意味で「설」、説きすすめる意味で「세」
27【洞】
동 동굴(洞窟)、명동(明洞:住所)
통 통찰력(洞察力)
ほらあなの意味と住所表記で「동」、見通す意味で「통」
28【奈】
나 나락(奈落)
내 막무가내(莫無可奈:猪突猛進のこと)
「내」は例外的な読み方ですが、そもそも「奈」を使った言葉がこのふたつくらいしかありません。
29【怒】
노 분노(憤怒)、격노(激怒)
로 희로애락(喜怒哀楽)
「로」と読む「喜怒哀楽」を覚えておきましょう。あとは全て「노」です。
30【諾】
락 허락(許諾)、내락(内諾)
낙 승낙(承諾)、응낙(応諾)
本来は「락」です。「승락」「응락」です。「승락」「응락」の発音は『流音化』して「승낙」「응낙」になります。『流音化』は、パッチムが[ㅁ]または[ㅇ]の時、続く子音の[ㄹ]は[ㄴ]で発音するというルールです。ですので「락」と表記しても「낙」と読むのですが、表記自体を「낙」にして「승낙」「응낙」としています。
31【亀】
귀 귀감(亀鑑)、귀갑(亀甲:亀の甲羅のこと)、귀두(亀頭)
균 균열(亀裂)
구 구미(亀尾:地名)
そもそも「亀」を使った言葉がほとんどありません。「균」は例外的な読み方ですが「亀裂」くらいしかありません。「구」と読むのも例外的で、地名しかありません。
32【読】
독 구독(購読)、독서(読書)
두 구두점(句読点)
読む意味で「독」、文の区切りの意味で「두」
33【索】
삭 삭도(索道)、측삭(側索)
색 검색(検索)、색인(索引)
ひも、綱は「삭」、さがす、求めるは「색」
34【塞】
색 폐색(閉塞)、심근경색(心筋梗塞)
새 요새(要塞)、새웅지마(塞翁之馬)
塞ぐ意味で「색」、砦の意味で「새」、새웅지마(塞翁之馬)の「塞」は人名
35【刺】
자 자극(刺戟:刺激の旧字体)、자수(刺繍)、풍자(風刺)
척 척살(刺殺)
読み分けは慣用的です。どちらも刺す意味で使います。このよっつを覚えておいてください。
36【拓】
척 개척(開拓)
탁 어탁(魚拓)、탁본(拓本)
開く、切り開くの意味で「척」、刷る、写し取る意味で「탁」このみっつを覚えておいてください。
37【沈】
침 ですが、人の姓では 심
「読み方がふたつ以上ある漢字」はまだまだありますが、例外的な読み方、あるいはその漢字自体が日常ほとんど使われない言葉になります。漢字の専門家になるのでもなければここまでで十分です。
3 漢字語の語頭の ㄹ は脱落したり ㄴ になる。
語頭の ㄴ も脱落することがあります。
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