韓国の簡易宿泊施設「考試院(コシウォン)」事情
「考試院(コシウォン)」というのは、韓国独特の簡易宿泊施設です。ベッドで寝れて、共同のトイレシャワーがあればそれで充分、という人のための施設です。日本でいうと「シェアハウス」が近いです。
ここでは韓国の簡易宿泊施設「考試院(コシウォン)」についてご紹介します。
目次 ▼
- ○ 1 韓国では「司法試験」のことを「司法考試」と言う
- ○ 2「司法考試」準備生のための「寝るだけの部屋」が「考試院(고시원)」
- ・建物丸ごと考試院のところ
- ・雑居ビルの一部を考試院としている所
- ・狭い廊下の両側に部屋が並んでいる
- ・部屋は本当に狭くて1畳半くらい
- ・台所やシャワーは共同
- ○ 3 男性専用のところも女性専用のところも
- ・考試院は誰でも入れる
- ・外国人でも入れる
- ○ 4 どんどん上がる物価に収入が追い付かない人が増えている
- ・社会人をねらってどんどん考試院を作った
- ・30代から40代を中心に、収入の低い独身の人たち、特に男の人たちが住むところ
- ○ ※ 韓国語を楽しく学んでみませんか?
1 韓国では「司法試験」のことを「司法考試」と言う
少し前まで、弁護士になるには司法試験に合格しなければなりませんでした。今はシステムが変わって、ロースクールを卒業すればよくなりましたが、以前は日本と同じでした。司法試験は合格するのがとても難しく、司法浪人生がいっぱいいました。
司法浪人生は収入がありませんから、食費や家賃はできるだけ節約しようとします。住むところは、寝ることができれば問題ありません。寝る時間以外は、司法浪人生のための学校にいるか、自習室(読書室と言います)で勉強しています。
2「司法考試」準備生のための「寝るだけの部屋」が「考試院(고시원)」
最近は、ホテルのように高級な考試院という意味で「考試テル(고시텔)」という名前の所も多いですが、ソウル市内なら1か月30万ウォンから50万ウォンくらいです。
田舎へ行けばもっと安くなります。契約は普通1か月単位ですが、日割りで計算してくれる所もあります。
為替レートは平均するとだいたい100円=1000ウォンです。
建物丸ごと考試院のところ
階によって女性専用、男性専用と分かれているところが多いです。
雑居ビルの一部を考試院としている所
このビルは1階がマート(スーパー)です。
あまりきれいじゃなくて狭いですが、安いところが多いです。
狭い廊下の両側に部屋が並んでいる
壁は薄いので隣の部屋の音は全部聞こえます。
部屋は本当に狭くて1畳半くらい
ベッドの手前がたんすになっていて服を入れます。大きな荷物はベッドの下です。テレビや小さな冷蔵庫がある部屋もあります(普通別料金です)。インターネットはWi-Fiがあります。
台所やシャワーは共同
この台所はきれいなほうです。冷蔵庫が写っていませんが共同の大きなのがあります。台所には、塩や砂糖や食用油などが置いてあって、自由に使っていいところが多いです。ちょっといい「考試院」には炊飯器にいつもご飯が炊いてあって、白いご飯は食べ放題のところもあります。
3 男性専用のところも女性専用のところも
階によって男性と女性を分けている所、分けずにごちゃごちゃの所などさまざまです。
最近は、部屋が広い考試院、部屋にシャワーがついている考試院など、ワンランク上の考試院も増えています。
考試院は、元々は司法試験やその他の試験浪人生のために生まれたものですが、別に試験の準備をしていなくても入居可能です。
考試院は誰でも入れる
このごろは、ソウルの地価が上がり、ソウルに家が買えないからちょっと離れた郊外に家を買って、お父さんだけ平日は考試院から会社に通い、週末だけ家に帰る、そんな人も増えているそうです。
外国人でも入れる
外国人だとわかるとみんな親切にしてくれるかもしれませんが、韓国では廊下や台所で会ってもあいさつはしません。これはマンションでも同じで、知っている人以外いちいちあいさつしません。日本のマンションでは知らない人がみんなあいさつするので、はじめはびっくりしました。
4 どんどん上がる物価に収入が追い付かない人が増えている
大学生なら、大学の寮とか大学近くの下宿など家賃の安いところがありますが、社会人が安く住める場所は考試院くらいです。しかし、考試院は、元々は司法試験のための考試学院の近くにしかありませんでした。その考試院に司法浪人生以外の人がたくさん入るようになったため、商売上手な人たちが
社会人をねらってどんどん考試院を作った
今ではソウルを中心に大きな都市にはあちこちに考試院があります。考試院は作るのが簡単で、それでいて家賃収入が確実に取れるので、商売をする側にとっておいしい商売と言えます。
ですので、考試院と言うと、
30代から40代を中心に、収入の低い独身の人たち、特に男の人たちが住むところ
今ではそんなイメージになっています。
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監修者
<出身大学>
新丘大学家庭教育学部
<略歴>
ソウル出身。韓国語教育が専門分野。2006年に来日し、2011年より韓国語教室ハングルちゃんの共同経営者兼主任講師。 生徒たちが積極的に参加しやすい雰囲気を作り、能力を最大限に引き出す指導スタイルが評判。
内田 昌弘 (うちだ まさひろ)
韓国語教室ハングルちゃん代表
<資格>
通訳案内士韓国語(国家資格)
日本語教育能力検定
高等学校と中学校教員1種免許状(数学)
<出身大学>
京都大学農学部卒業
<略歴>
東京生まれ千葉県育ち。韓国在住(歴)15年、1996年から2006年までの11年間は、韓国最大規模の語学学校(YBM学院)にて日本語部門の教授部長。2011年6月に韓国語教室ハングルちゃんをスタート。