韓国語の〔仮定表現「たら・なら」〕を徹底解説!
『仮定』の表現をまとめます。
日本語の「と・ば・たら・なら」に当たる表現です。韓国語の仮定の表現ですが、その基本は、日本語と同じです。ですので、まず、日本語がどうなっているのか理解しましょう。それが早道です。
目次
- ○ 1 日本語の『仮定』の表現
- ・① 「と」
- ・② 「ば」
- ・③ 「たら」
- ・④ 「なら」
- ・⑤ 名詞の時
- ・⑥ んだったら
- ・⑦ 日本語の仮定の表現は「たら」「なら」のふたつに集約されます。
- ○ 2 韓国語の『仮定』の表現
- ・➀「たら」⇒ (으)면
- ・➁「なら」⇒ 終止形+면
- ・➂ 名詞の時
- ○ 3 時制について
- ・現在形に接続
- ・過去形に接続
- ・過去完了形に接続
- ・名詞の時
- ・まとめると
- ○ ※ 『発音』『文法』総整理
1 日本語の『仮定』の表現
日本語の仮定の表現「と、ば、たら、なら」の意味、用法を確認しましょう。
① 「と」
「と」は、道案内や機械の使い方の説明などでよく使われます。
例) この道をまっすぐ行くと、右側にあります。
このつまみを右に回すと、音が大きくなります。
「と」の前の動作を前件、「と」の後ろの動作を後件と言いますが、「と」は、前件が成立すると、必ず後件が成立する時に使います。また、ニュアンスの差はありますが、「と」は全て「たら」に置き換えることができます。
例) この道をまっすぐ行ったら、右側にあります。
このつまみを右に回したら、音が大きくなります。
ですので、ここでは、「と」は「たら」にまとめます。
② 「ば」
「ば」は「もし~」や「過去のことを後悔する」時などに使われます
例) 明日、天気がよければ、洗濯をします。
カメラを持って来ればよかった。
「ば」は、「すればするほど」という定型表現、そして諺などの決まった表現以外、すべて「たら」に置き換えが可能です。
例) 明日、天気がよかったら、洗濯をします。
カメラを持って来たらよかった。
ですので「ば」も「たら」にまとめます。
実際、大阪では、日常「と」や「ば」はほとんど使っていません。
③ 「たら」
いろいろな使い方があります。
(1) 「もし~」という仮定の表現
例) この宝くじが当たったら・・【未来】
今、ここに彼女がいたら・・【実現していない現在】
あの頃まじめに勉強していたら・・【実現しなかった過去】
(2) 時間の経過で必ず成立することを条件にする
例) 授業が終わったら、お昼ご飯を食べに行きましょう。
今授業中であれば、授業は時間の経過で必ず終わります。「もし~」ではありません。
(3) 前件が成立したら、必ず後件が成立する。「と」と同じ。
例) この道をまっすぐ行ったら右側にあります。
(4) 意外なことでびつくりした。
例) 朝、窓を開けたら、雪が降っていました。
この(4)の用法は、『仮定』の用法ではないので、ここでは省きます。韓国語でも別の表現になります。
このように「たら」には、いろいろな用法がありますが、「たら」の特徴として、『前件が後件より時間的に先』になります。
例) 授業が終わったら、ご飯を食べに行きます。
明日、天気が良かったら、洗濯をします。
「たら」は、必ず「前件」が時間的に先です。
④ 「なら」
「なら」は、「仮に、そうする、そうなると仮定して考えましょう」という意味です。
例えば、北海道へ行くかどうかわかりませんが、仮に「行く」と仮定して、どうするか、どうなるか、話しましょう、というような時に使います。
例) 北海道へ行くなら、冬がいいですよ。
北海道へ行くなら、早めに予約したほうがいいと思いますよ。
北海道へ行くなら、飛行機が便利ですよ。
「なら」の特徴は、前件と後件に、時間の先、あとは、ありません。「北海道へ行くなら、早めに予約したほうがいいですよ」では、「北海道へ行く」より「予約をする」が先です。後件が時間的に先になることもあります。これが「たら」と大きく違う点です。
ですので、「たら」と「なら」は置き換えができません。つまり、『仮定』の表現は、「たら」「なら」ふたつに集約されます。
⑤ 名詞の時
名詞の時は、「たら」「なら」が意味的に同じになります。
例) 私だったら、そんなことはしない。
私なら、そんなことはしない。
「だったら」と「なら」が交換可能です。
⑥ んだったら
名詞の時と同じように、動詞、形容詞の時も「んだったら」と「なら」が交換可能となります。
例) 北海道へ行くなら、冬がいいですよ。
北海道へ行くんだったら、冬がいいですよ。
「んだったら」は、一見「たら」の形ですが、意味は「なら」となります。注意してください。
⑦ 日本語の仮定の表現は「たら」「なら」のふたつに集約されます。
つまり、日本語の『仮定』の表現は、
「と」「ば」「たら」⇒「たら」
「んだったら」「なら」⇒「なら」
「たら」「なら」のふたつに集約されます。「たら」なのか「なら」なのか、まず、きちんと区別できるようにしてください。
2 韓国語の『仮定』の表現
韓国語にも『仮定』の表現がふたつあります。使い分けは、日本語の「たら」「なら」とまったく同じです。ですので、日本語で「たら」か「なら」か区別して、それをそのまま置き換えれば、韓国語になります。
➀「たら」⇒ (으)면
(으)면は語幹に接続しますが、語幹の最後がㄹバッチムの時は、ㄹはそのままで으が脱落します。
가다 ⇒ 가면
먹다 ⇒ 먹으면
만들다 ⇒ 만들면
例) ①この道をまっすぐ行ったら、右側にあります。
⇒ 이 길을 쭉 가면 오른쪽에 있어요.
※ まっすぐ行く 쭉 가다
②寒かったら、窓を閉めてください。
⇒ 추우면 창문을 닫으세요.
※ 窓 창문〔窓門〕
➁「なら」⇒ 終止形+면
終止形ですが、動詞の現在形は、会話での言い切りの形です。
動詞の語幹にパッチムがない時 ⇒ ㄴ다 をつける
動詞の語幹にパッチムがある時 ⇒ 는다 をつける
語幹の最後がㄹバッチムの時 ⇒ ㄹが脱落する
가다 ⇒ 간다
먹다 ⇒ 먹는다
만들다 ⇒ 만든다
가지 않다 ⇒ 가지 않는다
※ 있다(いる・ある)、 없다(いない・ない)は、単に【存在】の意味を表す時には、文法的には形容詞となります。
いるなら、あるなら ⇒ 있다면
いないなら、ないなら ⇒ 없다면
있다と없다は、特別、例外と覚えておいてください。
例文で見てみましょう。
例) ③ 年末にパーティーをするなら、早く連絡をください。
⇒ 연말에 파티를 한다면 빨리 연락을 주세요.
※ 年末연말〔年末〕、パーティー 파티、早く 빨리、連絡 연락 [열락]〔連絡〕
➂ 名詞の時
「たら」「なら」区別がなくなります。ひとつの形です。
A 肯定形
パッチムがない時 ⇒ 면
パッチムがある時 ⇒ 이면
例) 虫なら ⇒ 벌레면
動物なら ⇒ 동물이면
※ 虫 벌레、動物 동물
会話では、라を挿入して、
パッチムがない時 ⇒ 라면
パッチムがある時 ⇒ 이라면
例) 虫なら ⇒ 벌레라면
動物なら ⇒ 동물이라면
となることが多いです。
B 否定形
パッチムがない時 ⇒ 가 아니면
パッチムがある時 ⇒ 이 아니면
例) 虫じゃないなら ⇒ 벌레가 아니면
動物じゃないなら ⇒ 동물이 아니면
会話では、肯定形の時と同様、라を挿入して、
パッチムがない時 ⇒ 가 아니라면
パッチムがある時 ⇒ 이 아니라면
例) 虫じゃないなら ⇒ 벌레가 아니라면
動物じゃないなら ⇒ 동물이 아니라면
となることもありますが、否定形の場合は、라を挿入しない形が多く使われます。
3 時制について
「未来のこと」を仮定しているのか、「実現していない現在のこと」を仮定しているのか、あるいは「実現しなかった過去のこと」を仮定しているのか、それによって、接続する動詞、形容詞、名詞の時制が違ってきます。
現在形に接続
① 未来のことを仮定する時、
➁ 時間の経過で必ず実現することを条件とする時、
➂ 前件が成立すると、自動的に後件が成立する時
「たら」 現在形+ (으)면
「なら」 現在形[終止形]+면
例) ➀ 年末にパーティーをするなら、早く連絡をください。
⇒ 연말에 파티를 한다면 빨리 연락을 주세요.
➁ 授業が終わったら、お昼ご飯を食べに行きましょう。
⇒ 수업이 끝나면 점심먹으러 갑시다.
➂ この道をまっすぐ行ったら、右側にあります。
⇒ 이 길을 쭉 가면 오른쪽에 있어요.
過去形に接続
④ 実現していない現在、過去のことを仮定する時
「たら」 過去形+ (으)면
「なら」 過去形[終止形]+면
例えば、今、ここにお金はないけど、もし、ここにあったら、という時の表現です。
例) 今、ここにお金があったら ⇒ 지금 여기에 돈이 있었으면
今、ここにお金があったなら ⇒ 지금 여기에 돈이 있었다면
例えば、過去、学生時代、全然勉強しなかったけど、もし、あの頃、一生懸命勉強していたら、という時、
例) あの頃、一生懸命、勉強していたら ⇒ 그때 열심히 공부했으면
あの頃、一生懸命、勉強していたなら ⇒ 그때 열심히 공부했다면
また、未来のことでも、また会うことができたらいいです、という時に、
例) 다시 만날 수 있었으면 좋겠어요.
のように「過去形」を使うことができます。「過去形」を使うと、話者の感情(希望や残念な気持ちなど)が強く出ます。
過去完了形に接続
➄ 実現しなかった過去のことを仮定する時
「たら」 過去完了形+ (으)면
「なら」 過去完了形[終止形]+면
過去完了形は、現在と断絶された過去のことに使います。ほとんどの場合、過去形と同じ場合にも使えますが、より断絶している、現在と違うというニュアンスが出ます。
例えば、過去、学生時代、全然勉強しなかったけど、もし、あの頃、一生懸命勉強していたら、という時、
例) あの頃、一生懸命、勉強していたら ⇒ 그때 열심히 공부했었으면
あの頃、一生懸命、勉強していたなら ⇒ 그때 열심히 공부했었다면
※ 一生懸命 열심히 [열심〔熱心〕]
過去完了形については、こちらを参照ください。
名詞の時
「未来のことを仮定」する時は、「たら」「なら」が同じ形ですが、「実現していない現在のこと」を仮定する時、「実現しなかった過去のこと」を仮定する時は、「たら」「なら」それぞれの形があり、動詞、形容詞と同様です。
例) 今、「お金持ちだったら」 ⇒ 부자였으면
今、「お金持ちだったなら」 ⇒ 부자였다면
あの頃、「お金持ちだったら」 ⇒ 부자였었으면
あの頃、「お金持ちだったなら」 ⇒ 부자였었다면
※お金持ち부자〔富者〕
まとめると
※ 名詞の時は、現在形に接続する場合、「たら」と「なら」は同じ形になります。
文法は論理的にできていますので、わかりやすいと思います。たくさん練習して身につけていってください。
※ 『発音』『文法』総整理
韓国語の『発音』『文法』を、わかりやすく解説しています。
今まで学習した中で、よくわからないところ、不安のあるところは、こちらの徹底解説と例文で、しっかりと整理しておいてください。
⇒韓国語のまとめ「文字・発音」編
⇒韓国語のまとめ「文法」編