韓国の軍隊事情を、韓国人視点で紹介します。

目次
- ○ 韓国では、健康な男子は、軍勤務が義務です。
- ・芸術や体育の分野で、国威宣揚、あるいは芸術暢達に寄与した特技生は、芸術体育要員となり、その分野で各自が励みます
- ・大衆芸能の芸能人の場合は、軍隊と言っても一般の兵士ではありません。
- ・軍隊の中で、海軍、空軍、海兵隊は志願制です。
- ・「軍隊に入る」というのは、一般的には陸軍です。
- ○ 軍隊に入隊後は、まず、訓練所で基本のトレーニングを受け、その後、所属の部隊に配属されます。
- ・軍隊の生活は、各部隊によって、若干の差はありますが、
- ・携帯電話の所持と使用は、現在、個人整備の時間(休憩時間)のみ認められています。
- ・食事は、味はともかく、お腹はいっぱいになります。
- ○ 勤務は、基本週5日です。
- ・休暇は、陸軍の場合、1年6か月で24日の休暇があります。
- ・家族の面会は、軍の施設内で、1週間から2週間に1回程度、許可されます。
- ○ 給与は、陸軍に入りたての兵士で、2023年には、月に60万ウォン、ここに政府支援金が30万ウォン、合わせて90万ウォンがもらえます。
- ・軍隊に入隊中の生活必需品は、以前は、たばこから夜食用のインスタントラーメン、洗面用具やひげそり、皆、支給品として、かなり支給されました。
- ○ 2020年7月から、軍隊へのスマホの持ち込みが許可され、軍隊生活は大きく変わりました。
- ・以前は、上官からの理不尽な命令や暴力は当たり前でした。
- ○ 以前に比べて、軍隊での勤務期間も大幅に短縮されました。
韓国では、健康な男子は、軍勤務が義務です。
満年齢で18歳から30歳までに入隊することになっていますが、普通は、大学の1年か2年が終わったところで入隊することが多いです。
軍隊の勤務期間は、現在、陸軍と海兵隊が18か月、海軍20か月、空軍22か月、社会服務要員21か月です。父親がいなかったり、あるいは、健康面や身体条件などで軍の勤務に支障があると判断された場合には、軍勤務が免除されたり、社会服務要員として自宅からの通い勤務になります。社会服務要員は、主に、役所などで公務員の仕事をします。
芸術や体育の分野で、国威宣揚、あるいは芸術暢達に寄与した特技生は、芸術体育要員となり、その分野で各自が励みます
つまり、軍の勤務は免除です。体育分野では、オリンピックでメダルを取る等、基準があります。しかし、大衆芸術は、芸術特技生に入りません。ですので、BTSは、免除の基準を満たさないため、今回、特別に免除すべきか議論になりましたが、結局、法改正等はせず、入隊となります。
大衆芸能の芸能人の場合は、軍隊と言っても一般の兵士ではありません。
演芸兵士と言って、あちこちの部隊で開かれる慰労目的のコンサートなどに出演するだけで、一般的な軍の勤務は行いません。その上、一般の兵士より休暇も2倍以上多いため、公平性の面で問題があるのではないかと、テレビなどでも時々取り上げられています。
軍隊の中で、海軍、空軍、海兵隊は志願制です。
海兵隊は訓練も厳しく、勤務も大変ですが、自ら海兵隊に志願するというのは、それだけの責任感があるということで、社会に出てからも、それなりに認められる存在となります。しかし、海兵隊に志望しても、面接や健康診断などでふるいにかけられ、合格率は20%くらいです。
「軍隊に入る」というのは、一般的には陸軍です。
軍隊に入隊後は、まず、訓練所で基本のトレーニングを受け、その後、所属の部隊に配属されます。
陸軍の場合、5週間が訓練期間です。配属は、どこになるかわかりません。部隊は、大部分、韓国の北のほうにあるので、そちらに配属になる人が多いですが、そうでない部隊になる人もいます。江原道(カンウォンド)の山のほうに配属になると、冬は雪がたくさん降るので、雪かきだけでも大変です。逆に、運転兵といって、トラックなど車の運転をする兵になると、一般の兵士より勤務はかなり楽です。配属はすべて運です。
軍隊の生活は、各部隊によって、若干の差はありますが、
6時起床
7時に朝の点呼、そのあと朝食
12時~13時 昼食
17時30分~18時30分 夕食 そのあと個人整備時間(休憩時間)
21時30分 夜の点呼
22時 就寝
携帯電話の所持と使用は、現在、個人整備の時間(休憩時間)のみ認められています。
しかし、今後は、24時間所持可能としていく方針です。所持が可能といっても、いつでも自由に使えるわけではなく、勤務時間中の使用には制限がかかります。
食事は、味はともかく、お腹はいっぱいになります。
食事も以前に比べると、かなり改善されています。
勤務は、基本週5日です。
しかし、連続勤務や緊急事態などもあり、必ずしも土日が休みとはなりません。しかし、休みの日にちは確保されます。
休暇は、陸軍の場合、1年6か月で24日の休暇があります。
所属の部隊にもよりますが、入隊後、6か月過ぎると、休暇を取ることができます。もちろん許可が必要です。そして、外出や外泊も許可をもらえばできますが、外出だけでも休暇1日消化、外泊で休暇2日消化になります。
家族の面会は、軍の施設内で、1週間から2週間に1回程度、許可されます。
部隊によって面会室は違います。
給与は、陸軍に入りたての兵士で、2023年には、月に60万ウォン、ここに政府支援金が30万ウォン、合わせて90万ウォンがもらえます。
勤務期間に応じて階級が上がれば、給与も上がります。軍にいる間は、そもそも、お金をほとんど使わないので、除隊するまでに、けっこうな額の貯金ができます。給与の金額は、毎年のようにどんどん上がっています。20年前には、入隊したての兵士の月給は1万ウォンとかでしたから、隔世の感があります。
軍隊に入隊中の生活必需品は、以前は、たばこから夜食用のインスタントラーメン、洗面用具やひげそり、皆、支給品として、かなり支給されました。
ですので、軍隊に入るというのは、体ひとつ持って行くということでしたが、今は、スマホの持ち込みもOKになり、また、最近は、コロナということもあり、身の回りの物は、全て自分で準備して入隊します。今は、支給品ではなく、給料としてお金でもらうようになりました。
2020年7月から、軍隊へのスマホの持ち込みが許可され、軍隊生活は大きく変わりました。
今、軍隊に行くというのは、自由に外に出られない、というのがストレスで、以前のように、外部と完全に遮断された場所でプライバシーもなく、訓練が厳しく肉体的にきついとか、理不尽な命令をしたり暴力をふるう上官がいて精神的、肉体的に耐えられないとか、そういうことはありません。
以前は、上官からの理不尽な命令や暴力は当たり前でした。
しかし、2000年代に、いじめや暴力に悩んだ兵士の自殺が相次いでマスコミで報道され社会問題になったことや、また、人権尊重の時代になったこともあり、今では、軍隊内での、おおっぴらな暴力や、あからさまに理不尽な命令はほとんどなくなりました。各部隊には定期的に行政機関から調査が入り、聞き取り調査も行われています。しかし、それでも、様々な嫌がらせはなくならず、むしろ、隠れて行われるようになり、軍隊内でいじめを苦にして自殺したというニュースは、今も、時々、出ています。
以前に比べて、軍隊での勤務期間も大幅に短縮されました。
陸軍は、今は1年6か月ですが、20年前には2年2か月、1970年代には3年3か月でした。また、勤務自体も楽になっています。なにより、今は、外部といつでも連絡ができるスマホも持ち込めます。しかし、そのため、「これでは、いざ、本当に戦争になった時に、軍隊としてまったく役に立たないのではないか」という専門家の意見も多くなっています。