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韓国の暮らし(04)【結婚・離婚・老人・自殺・墓】

韓国のお年寄り(老人)問題「貧困、薄れる儒教意識」

投稿日:2020年10月14日 | 最終更新日:2023年10月25日

韓国では、親が年を取ったら、長男が老後の世話をするのが当たり前でしたが、今ではそう考える人はとても少なくなりました。また、親のほうも子供の世話にはなりたくないと考えるようになりました。今、韓国では、儒教の意識がどんどん薄れています。

目次 ▼

1 韓国では、伝統的に、親が年を取ったら長男が面倒を見るのが当たり前でした

ですから、以前は、男の子を生んで育てさえすれば、老後の心配はありませんでした。
しかし、そのような意識が急激に変化しています。

1990年代には「親の面倒を見るのは当たり前」と思う人が90%以上でした

しかし、今では20%以下に減っているそうです。

そして、親のほうも、自分の老後は自分で見ると考えるようになって来ました。

韓国の年金制度が、形になってきたのは1990年代以降です。

そのため、今のお年寄りは、年金をもらえない人も多く、自分の子供に面倒を見てもらえないお年寄りは、とても貧しい生活をしています。

福祉施設で給食をもらうために長い列を作っています。

これは、豊かになった韓国の、もうひとつの姿です。
老人の自殺率も、2000年以降、急上昇し、以前の3倍になりました。韓国は、社会の変化が急過ぎて、国のシステムがついていっていません。
そして、今、日本以上に、少子高齢化が急速に進んでいます。未来が心配になります。

2 年金をもらえないお年寄りに、政府は基礎年金を支給しています。

基礎年金という名目で、政府は生活支援をしていますが、息子のいる人には支給しません。息子がいると言っても、親の面倒を見ない息子もいます。そのため、息子に面倒を見てもらえない老人は、誰も面倒をみてくれず、基礎年金という生活支援金ももらえません。

生活手段のない老人のほとんどが、リサイクルごみを拾い、それをお金にして生活しています。

1か月間毎日、1日中拾い続ければ、30万ウォンくらいになるそうです。お金になるゴミは、缶や瓶、新聞紙、ダンボール、古着などです。
それでも、体が元気なうちはいいのですが、病気になった時が問題です。面倒を見てくれる人もいないし、病院に行くお金もありません。

韓国では、このような老人が増え、社会問題になっています。

リサイクルごみを集めてお金にして、なんとかその日その日を過ごしている老人が、推計で175万人もいるそうです。

3 韓国は、老人の貧困問題が深刻です。

老人貧困率とは、老人人口のうち、中位所得(平均所得)の50%以下の比率のことです。

韓国では、老人の貧困率は50%近くになり、2人に1人が貧困老人です。

2000年以降、ずっと40%を上回っている状態です。

2018年には老人貧困率世界一でした。

2018年OECD38か国対象65歳以上老人基準
老人貧困率は、老人人口中 中位所得の50%以下の人の比率
1位韓国、2位ラトビア、3位エストニア、4位メキシコ、5位リトアニア、6位豪州、7位アメリカ、8位イスラエル、9位日本、10位チリ、OECD平均

50%近かった最悪の時期からは多少改善されましたが、それでも、OECD加盟国中1位です。ちなみに日本は20%で9位です。

しかし、貧困老人の全てが、元々貧困だったわけではありません。

財産はあったのですが、死んでから相続問題が起きるのも面倒だからと、生きているうちに、自分の息子や娘に財産を相続したところ、その後、連絡が途絶え、世話をしてくれる人がいなくなり、貧困になった老人もかなりいます。
もちろん、相続する前は、息子や娘たちは頻繁に訪れ、あれこれ面倒を見てくれました。そして、相続したあとも、ちゃんと世話はする、面倒を見る、そう約束したにもかかわらず、財産をもらったら、それっきりです。全くとんでもない話で、ひと昔前なら、ありえない話なのですが、現在の韓国では、決して珍しい話ではありません。

韓国の老人は、「子供に財産を相続すると飢え死にし、相続しないと殴られ死ぬ」

不孝者(親不孝)防止法 ’贈与財産回収’ 可能

そんな悪い冗談もあるくらいです。
そのため、財産を相続したあと、自分の親の面倒を見ない場合、その財産を取り戻すことができるよう、親不孝防止法の草案が政府から出され、論議が行われています。
しかし、なかなか、この法案は国会を通りません。今回も難しいと思いますが、でも、そのくらい今の韓国は状況が深刻です。

4 それでも長男を大切にします。

韓国では、昔から大切なのは長男でした。長男がいないと祭祀もできませんし、自分たちの老後の世話をしてくれる人がいません

2004年には「大韓民国で長男として生きていく」という本がベストセラーでした。

あっと言う間に、時代が変わりました。

大切に育てた長男は、両親の世話どころか両親の財産をもらうことだけしか考えていません。

そんな親不幸な長男が増えています。

私の知り合いの母親は、その時70歳くらいでまだ元気でしたが、全財産を長男にあげました。しかし、その長男は、母親の世話どころか、母親を療養院(老人ホーム)に入れようとしました。そのため、その母親は未来を嘆いて衝動的に農薬を飲んで自殺してしまいました。
そんな悲しい話が、今の韓国にはたくさんあります。

逆に、娘たちは親孝行が多いので、最近は、生まれる子供が男の子より女の子のほうが喜ばれます。

少し前まで、日本では生まれてくる赤ちゃんは、男の子より女の子のほうが喜ばれる、と聞いても、韓国人は理解できなかったのですが、本当に変わりました。

このごろは、親不孝な長男と親孝行な娘たち、というケースがとても増えています。

これは旅行関係の仕事をしている人に聞いたのですが、親子3世代で旅行をするというと、以前は、老夫婦の長男夫婦とその子供であることが一般的だったのですが、最近は、老夫婦の娘夫婦とその子供であることがほとんどだそうです。

それでも、昔からの意識が変わらない60代以上の親たちは、長男ばかりを大切にします。

娘たちにもらったお小遣いを、そのままこっそり長男に渡すようなケースもあります。いくら親孝行でも、娘たちは長男の足元にも及びません。

5 親を老人ホームに入れるのは親不孝です。

韓国の老人ホーム(療養院)事情

6 電車やバスで、老人に席を譲らない人はいませんでした。

日本の優先席を、韓国では「老弱者席」と言います。

「老弱者席(노약자석)」は、「体の不自由な人(장애인・障碍者)」「老弱者(노약자)」「妊娠婦(임산부)」「幼乳児同伴者(영유아 동반자)」のための座席(자석)です。

老人が乗って来たら、若者たちはすぐに「老弱者席」から立ちあがりました。

そもそも「老弱者席」には座りませんでした。「老弱者席」が空いていても、座らないで立っていました。

老人たちは、「老弱者席」でなくても、強い態度で若者に席を譲らせました。

若者たちは、素直に譲るのが当たり前でした。

しかし、最近は「老弱者席」で平気で寝ている若者も多いです。

ネットのあちこちに写真が載せられて非難の対象になっています。しかし、そんな若者を注意すると、逆に何をされるかわからないので、今では、老人たちが若者たちを怖がっています。
以前には考えられないほど韓国が変わってしまいました。

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