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韓国の暮らし 3【結婚・離婚・老人・自殺・墓・病院・病気・薬】

韓国のお年寄り(老人)問題「貧困、薄れる儒教意識」

投稿日:2020年10月14日 | 最終更新日:2024年7月17日

韓国では、20年位前までは、親が年を取ったら長男が老後の世話をするのが当たり前でした。しかし、今ではそう考える人はとても少なくなりました。また、親のほうも子供の世話にはなりたくないと考えるようになりました。今、韓国では、儒教の意識がどんどん薄れています。

目次 ▼

1 韓国では伝統的に親が年を取ったら長男が面倒を見るのが当たり前だった

ですから、以前は、男の子を生んで育てさえすれば老後の心配はありませんでした。
しかしそのような意識が急激に変化しています。

1990年代には「親の面倒を見るのは当たり前」と思う人が90%以上

しかし今では20%以下

そして、親のほうも、自分の老後は自分で見ると考えるようになって来ました。

韓国の年金制度が形になってきたのは1990年代以降

そのため、今のお年寄りは年金をもらえない人も多く、自分の子供に面倒を見てもらえないお年寄りはとても貧しい生活をしています。

福祉施設で給食をもらうために長い列

これは豊かになった韓国のもうひとつの姿です。老人の自殺率も2000年以降急上昇し、以前の3倍になりました。韓国は社会の変化が急過ぎて国のシステムがついていっていません。
そして、日本以上に少子高齢化が急速に進んでいます。未来が心配になります。

2 年金をもらえないお年寄りに政府は基礎年金を支給

基礎年金という名目で政府は生活支援をしていますが、息子のいる人には支給しません。息子がいると言っても親の面倒を見ない息子もいます。そのため、息子に面倒を見てもらえない老人は、誰も面倒をみてくれず基礎年金という生活支援金ももらえません。

生活手段のない老人のほとんどがリサイクルごみを拾いそれをお金にして生活

1か月間毎日1日中拾い続ければ30万ウォンくらいになるそうです。お金になるゴミは、缶や瓶、新聞紙、ダンボール、古着などです。
それでも体が元気なうちはいいのですが、病気になった時が問題です。面倒を見てくれる人もいないし病院に行くお金もありません。

韓国ではこのような老人が増え社会問題に

リサイクルごみを集めてお金にしてなんとかその日その日を過ごしている老人が推計で175万人もいるそうです。

3 韓国は老人の貧困問題が深刻

老人貧困率とは、老人人口のうち中位所得(平均所得)の50%以下の比率のことです。

韓国では老人の貧困率は50%近くになり2人に1人が貧困老人

2000年以降ずっと40%を上回っている状態です。

2018年には老人貧困率世界一

2018年OECD38か国対象65歳以上老人基準
老人貧困率は、老人人口中 中位所得の50%以下の人の比率
上から、1位韓国、2位ラトビア、3位エストニア、4位メキシコ、5位リトアニア、6位豪州、7位アメリカ、8位イスラエル、9位日本、10位チリ、OECD平均

50%近かった最悪の時期からは多少改善されましたが、それでもOECD加盟国中1位です。ちなみに日本は20%で9位です。

貧困老人の全てが元々貧困だったわけではない

財産はあったのですが、死んでから相続問題が起きるのも面倒だからと、生きているうちに、自分の息子や娘に財産を相続したところ、その後連絡が途絶え、世話をしてくれる人がいなくなり、貧困になった老人もかなりいます。
もちろん相続する前は息子や娘たちは頻繁に訪れあれこれ面倒を見てくれました。そして相続したあともちゃんと世話はする、面倒を見る、そう約束したにもかかわらず、財産をもらったらそれっきりです。全くとんでもない話で、ひと昔前ならありえない話なのですが、現在の韓国では決して珍しい話ではありません。

韓国の老人は「子供に財産を相続すると飢え死にし相続しないと殴られ死ぬ」

不孝者(親不孝)防止法 ’贈与財産回収’ 可能

そんな悪い冗談もあるくらいです。
そのため、財産を相続したあと、自分の親の面倒を見ない場合、その財産を取り戻すことができるよう親不孝防止法の草案が政府から出され論議が行われています。
しかしなかなかこの法案は国会を通りません。今回も難しいと思いますが、でもそのくらい今の韓国は状況が深刻です。

4 それでも長男を大切にする

韓国では、昔から大切なのは長男でした。長男がいないと祭祀もできませんし、自分たちの老後の世話をしてくれる人がいません。

2004年には「大韓民国で長男として生きていく」という本がベストセラーだった

あっと言う間に時代が変わりました。

大切に育てた長男は両親の世話どころか両親の財産をもらうことしか考えていない

そんな親不幸な長男が増えています。

私の知り合いの母親は、その時70歳くらいでまだ元気でしたが、全財産を長男にあげました。しかし、その長男は、母親の世話どころか母親を療養院(老人ホーム)に入れようとしました。そのた、その母親は未来を嘆いて衝動的に農薬を飲んで自殺してしまいました。そんな悲しい話が今の韓国にはたくさんあります。

娘たちは親孝行が多いので最近は生まれる子供が男の子より女の子のほうが喜ばれる

少し前まで、日本では生まれてくる赤ちゃんは男の子より女の子のほうが喜ばれる、と聞いても、韓国人は理解できなかったのですが、本当に変わりました。

このごろは親不孝な長男と親孝行な娘たちというケースがとても増えている

これは旅行関係の仕事をしている人に聞いたのですが、親子3世代で旅行をするというと、以前は、老夫婦の長男夫婦とその子供であることが一般的だったのですが、最近は、老夫婦の娘夫婦とその子供であることがほとんどだそうです。

それでも昔からの意識が変わらない60代以上の親たちは長男ばかりを大切にする

娘たちにもらったお小遣いをそのままこっそり長男に渡すようなケースもあります。いくら親孝行でも娘たちは長男の足元にも及びません。

5 親を老人ホームに入れるのは親不孝

関連記事 : 韓国の老人ホーム(療養院)事情

6 電車やバスで老人に席を譲らない人はいなかった

日本の優先席を韓国では「老弱者席」と言う

「老弱者席(노약자석)」は「体の不自由な人(장애인・障碍者)」「老弱者(노약자)」「妊娠婦(임산부)」「幼乳児同伴者(영유아 동반자)」のための座席(좌석)です。

老人が乗って来たら若者たちはすぐに「老弱者席」から立ちあがった

そもそも「老弱者席」には座りませんでした。「老弱者席」が空いていても座らないで立っていました。

老人たちは「老弱者席」でなくても強い態度で若者に席を譲らせた

若者たちは素直に譲るのが当たり前でした。

しかし最近は「老弱者席」で平気で寝ている若者も多い

ネットのあちこちに写真が載せられて非難の対象になっています。しかしそんな若者を注意すると、逆に何をされるかわからないので、今では老人たちが若者たちを怖がっています。
以前には考えられないほど韓国が変わってしまいました。

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監修者

監修者の写真

<出身大学>

新丘大学家庭教育学部

<略歴>

ソウル出身。韓国語教育が専門分野。2006年に来日し、2011年より韓国語教室ハングルちゃんの共同経営者兼主任講師。 生徒たちが積極的に参加しやすい雰囲気を作り、能力を最大限に引き出す指導スタイルが評判。

監修者の写真

内田 昌弘 (うちだ まさひろ)

韓国語教室ハングルちゃん代表

<資格>

通訳案内士韓国語(国家資格)
日本語教育能力検定
高等学校と中学校教員1種免許状(数学)

<出身大学>

京都大学農学部卒業

<略歴>

東京生まれ千葉県育ち。韓国在住(歴)15年、1996年から2006年までの11年間は、韓国最大規模の語学学校(YBM学院)にて日本語部門の教授部長。2011年6月に韓国語教室ハングルちゃんをスタート。