韓国の高校生活(受験・部活)について【2023年最新版】
韓国の高校生活について、実体験と最近の若い人たちの話を基にご紹介します。
目次
- ○ 1 韓国の高校は、男子校、女子高です。
- ○ 2 日本と同じで制服があります。
- ○ 3 昼ごはんは給食です。
- ・学校に食堂があります。
- ○ 4 日本のような「部活動」はありません。
- ・運動をする人は運動だけ、音楽やる人は音楽だけです。
- ・「普通科」は、すべてが大学受験のためです。
- ○ 3 高校でも第二外国語があります
- ・以前は、高校ごとに外国語の科目が決まっていました。
- ・最近は、2科目ぐらいから選ぶことができ、多いのは日本語と中国語です。
- ○ 6 授業はほとんど聞いていません。
- ・学院(塾)で出た宿題などをしています。
- ・3年生になると授業はほとんどありません。全部自習です。
- ○ 7 朝と放課後に「自立学習」があります。
- ・早い学校は1年生から、遅くとも2年生には「自律学習」が始まります。
- ・自律学習が終わってからも勉強です。
- ・韓国には、「四当五落」という言葉があります。
- ・でも眠い時はやっぱり眠いです。
- ・最近は、夜間の自立学習はやめたほうがいいのではないか、
- ○ 8 夏休みも冬休みも「自立学習」と「学院(塾)通い」です。
- ・地方の高校生は、夏休みや冬休みにはソウルに上京します。
- ○ 9 韓国の高校は、その後の生活をかけた戦場です。
- ・クラスメートの勉強の邪魔をしないよう、お互い気を使います。
- ○ 10 中学校、高校の校則が厳しいです。
- ・全体の81%が、異性との交際を校則で禁止しています。
- ・服装の規定も厳しいです。
- ・最近は、化粧をする中学生、高校生が増えていますが
- ・直接、間接の体罰を受けたことのある中学生が、今でも25%います。
- ○ 11 高校の運動部は朝から晩まで練習しています。
- ・韓国では、野球部やサッカー部がある高校が全国で60校前後です。
- ・全国大会も簡単にできます。
- ・韓国では、高校で運動を選んだら朝から晩まで運動します。
- ・運動で結果を出せば、延世大学でも高麗大学でも特技生の入学枠があります。
- ○ 11 私の通っていた中学校は「国楽試範中学校」に指定されていました。
- ・高校に入る時には、中学校で特技生推薦をもらいました。
- ・母に猛反対されました。
- ・韓国では、どの大学を出たかがとても重要です。
1 韓国の高校は、男子校、女子高です。
「男女7歳にして席を同じゅうせず」という儒教の教えがあります。
共学もありますが、学校が同じだけで、基本は、男子クラス、女子クラス、別々です。ですので、夜、学院(塾)や読書室(自習室)へ行くと、そこが男女の出会いの場となります。ジュースの自動販売機や、夜食用のカップラーメンがあるのですが、そこで恋が芽生えることがあります。
最近の共学校では、日本のように、同じ教室に男女がいっしょにいる高校も増えています。
2 日本と同じで制服があります。
学校の制服は「校服」と言います。
3 昼ごはんは給食です。
幼稚園から高校まで、韓国はすべて給食です。お弁当という学校はありません。
学校に食堂があります。
月に15万ウォンくらいですが、最近は無償提供の自治体が増えています。
4 日本のような「部活動」はありません。
「普通科」の高校は、勉強だけです。
運動をする人は運動だけ、音楽やる人は音楽だけです。
運動や音楽で大学に行く人だけが運動や音楽をやり、それ以外の人は、皆、勉強だけです。文武両道はありません。
「普通科」は、すべてが大学受験のためです。
どの大学へ行くかで一生が決まると言っても過言ではないからです。そのため、韓国の高校生たちは寝る時間も惜しんで勉強しています。学校では勉強だけです。ですから、韓国の中学や高校には、日本のような「部活動」がありません。大学に入るために、一日中勉強しています。「部活動」をする余裕はまったくありません。
3 高校でも第二外国語があります
韓国では、大学の教養でも第二外国語を勉強しますが、高校でもあります。授業は、だいたい1週間に1回です。以前は、大学の入学試験には入りませんでした。しかし、大学に入る時の内申点には入りますから、大学に行く人は熱心に勉強しました。高校だけでなく、中学校でも第二外国語のある学校があります。韓国では、外国語の学習は、とても大事です。
以前は、高校ごとに外国語の科目が決まっていました。
以前は、フランス語やドイツ語の高校が多かったです。私の通った高校はフランス語でしたから、3年間、第二外国語でフランス語を勉強しました。勉強したくてしたわけではないので、全然話せません。
最近は、2科目ぐらいから選ぶことができ、多いのは日本語と中国語です。
ソウル市所在高等学校編成現況
ソウル市内では、80.9%の学校で日本語選択が可能です。
最近は、中国語を選ぶ人がどんどん増えていますが、日本語を選ぶ人も多いです。ですので、日本語や中国語が、すこ~しわかるという人は、韓国にはとても多いです。
6 授業はほとんど聞いていません。
皆、学院(塾)で、先に習っています。
学院(塾)で出た宿題などをしています。
さぼったりすると内申点が悪くなるので、皆、静かに、違う勉強をしています。
3年生になると授業はほとんどありません。全部自習です。
授業があっても誰も聞いていないので、そのほうがいいです。
7 朝と放課後に「自立学習」があります。
自律学習というのは、学校の授業が始まる前や放課後に、受験のために自習をすることです。名前は「自律」ですが、半強制です。当番の先生が見回っています。さぼると担任の先生に怒られるし、家にも連絡が行って親にも怒られます。
早い学校は1年生から、遅くとも2年生には「自律学習」が始まります。
朝の自律学習が、午前7時からで、夜の自律学習が、午後4時から午後9時とか10時までです。晩ご飯は、学校に「学生食堂」があるので、そこで食べます。ちなみに、韓国では小学生も中学生も高校生も「学生」です。
自律学習が終わってからも勉強です。
学院(塾)へ行ったり、読書室(自習室)へ行って午前2時ごろまで勉強します。
学院(塾)や自習用の読書室には、送迎用のマイクロバスがあり、自律学習が終わる時間に高校の前に迎えに来て、帰りは家まで送ってくれます。
韓国には、「四当五落」という言葉があります。
「4時間睡眠なら合格、5時間睡眠なら落ちる」という意味です。寝るときは寝て、すっきりした頭で勉強したほうがいい、とは言いません。
でも眠い時はやっぱり眠いです。
本当にみんながちゃんと勉強しているかというと、実はそうでもありません。4時間睡眠ではやっぱり眠いですから、朝の自律学習では、机で寝ている人も多いですし、なんとかさぼろうとする人もいます。私も自律学習を何度か抜け出してさぼりました。机をトイレに隠してしまい、当番の先生のチェックを逃れました。友達には「勇気ある」とか「すごい」と言われてました。
最近は、夜間の自立学習はやめたほうがいいのではないか、
という意見が増え、今は、夜間の自立学習はなくなりました。また、学生食堂での夕食の提供もなくなりました。
8 夏休みも冬休みも「自立学習」と「学院(塾)通い」です。
夏休みや冬休みも、午前7時から「自立学習」をして、その後「学院(塾)」に通い、更に「読書室(自習室)」で勉強します。睡眠時間は4時間くらいです。
一日中勉強の生活を3年間続けます。
地方の高校生は、夏休みや冬休みにはソウルに上京します。
考試院などに泊まって、朝から晩まで「学院(塾)」と「読書室(自習室)」で勉強します。
⇒韓国語の簡易宿泊所「考試院」について
9 韓国の高校は、その後の生活をかけた戦場です。
国別 大学生の高校のイメージ
左から、韓国、中国、日本、アメリカ、
グラフの色は、緑が「いっしょに過ごす広場」、灰色が「取引する市場」、赤が「死活をかけた戦場」
韓国と日本が対照的です。高校生活のイメージは、日本人にとっては「楽しい高校生活」という思い出が大部分のようですが、韓国人にとっては「人生をかけて勉強した、他人との競争の場」です。
クラスメートの勉強の邪魔をしないよう、お互い気を使います。
男女共学で同じ教室に男女がいても、お互いの勉強の邪魔をしないというのが不文律です。
10 中学校、高校の校則が厳しいです。
学校では、生徒たちに勉強に集中させるため、校則も厳しいです。服装をはじめ生活全般まで校則で細かく拘束しています。
最近は、子供たちにも人権があるということで、各自治体ごとに人権条例も作られていますが、実態は、あまり変わっていないようです。
全体の81%が、異性との交際を校則で禁止しています。
禁止していない学校は、商業高校などの、受験とは関係ない学校ではないかと思います。
そして、異性交際を摘発するため、全校生徒に設問用紙を配り、異性交際している生徒を書かせたり、つげ口をした生徒に、内申をプラスするなど、相互監視システムを使う学校まであります。こんなことが、21世紀の現代でも韓国の中学校、高校で行われています。
勉強には恋愛はマイナスということです。
服装の規定も厳しいです。
パーマや染めることはもちろん禁止、制服の下には白以外のシャツ禁止、また、冬でもコートなどの外套禁止の学校も42.2%あります。寒くて死んじゃいます。
最近は、化粧をする中学生、高校生が増えていますが
化粧をしていない学生たちのみ、教務室出入を許容します。
校則の厳しい学校では、化粧なんて、もってのほかです。
直接、間接の体罰を受けたことのある中学生が、今でも25%います。
昔は、もちろん体罰当たり前でしたが、現在は禁止されているはずなのに、この数字です。
11 高校の運動部は朝から晩まで練習しています。
韓国では、高校で運動する人は運動だけです。勉強はしません。しなくてかまいません。そんな特別な生徒を「特技生」といいます。運動だけでなく音楽や美術を専攻する人も特技生です。
韓国の高校は、文教部〔日本の文部科学省〕指定の特技科目があり、野球の高校なら野球部を重点的に、サッカーの高校ならサッカー部に力を入れます。他のスポーツも同じです。運動部がまったくない高校もありますし、2つ3つある高校もあります。
韓国では、野球部やサッカー部がある高校が全国で60校前後です。
日本では、野球部やサッカー部のある高校がそれぞれ4000校以上ですから比べ物になりませんね。
野球だと、全国で67校だけです。
全国大会も簡単にできます。
全国大会が年に6回あります。その上、週末リーグまであるので、シーズン中は、土日ごとに全国大会をやっています。ですので、全国大会優勝といっても、日本のような感慨はありません。
高校野球で野球をやるというのは、将来、プロ野球の選手になるのが目的です。脱落してしまったら何の意味もありませんから、それはそれで、皆、覚悟を持って練習しています。
韓国では、高校で運動を選んだら朝から晩まで運動します。
授業はほとんど受けません。免除されます。そんな運動選手たちの将来はプロの選手かオリンピック選手か…。でも、能力が足りなかったり、けがとかしたら、普通の高校生に戻ります。
特技生たちは勉強をほとんどしませんから、運動選手はみんな「勉強できない人」「頭悪い人」というイメージです。
運動で結果を出せば、延世大学でも高麗大学でも特技生の入学枠があります。
勉強がまったくできなくても一流大学の肩書きが手に入ります。そのため、人気のないスポーツ〔ホッケーとか〕をやって、一流大学を目指す人もいます。勉強で入ったかどうかはすぐわかるんですけどね。
ただ、あまりにも勉強しないのは人間的に問題がある、という社会的な雰囲気から、特技生たちも最低限の勉強をしなければならないように変わりました。
11 私の通っていた中学校は「国楽試範中学校」に指定されていました。
それで、私も中学生のときは、こんな伝統楽器をやってました。「ヘグム(해금・奚琴)」と言います。
ひとりでやるのではなく、学校に楽団があって、その「楽団公演」で、あちこちの学校に演奏に行きました。授業を受けないであちこち行くので、とても楽しかったです。
高校に入る時には、中学校で特技生推薦をもらいました。
もらえるのは楽団の中でも2人くらいです。それで、母に「芸術高校へ行きたい」と言ったら、
母に猛反対されました。
音楽の特技生で高校へ行くというのは、音楽で身を立てるということで、いくら音楽をやっても会社に就職できない。それに、あんたは勉強ができないわけではないのだから勉強して大学行きなさい。ということで、高校は普通科に行きました。音楽はお金がかかるということもありますが、
韓国では、どの大学を出たかがとても重要です。
ですから、勉強ができれば勉強を頑張っていい大学に入る。勉強はダメだけどスポーツや芸術の才能があれば「芸体能系」、どちらもダメなら商業高校とか工業高校です。
もちろん、大学に行くのはお金がかかるし、芸術系はもっとかかります。ですから、家に余裕がない人は商業高校や工業高校へ行き、高卒後すぐ働きます。