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韓国の暮らし 4【赤ちゃん・子育て・教育・学校・受験】

韓国の高校生活(受験・部活)について【2024年最新版】

投稿日:2019年12月12日 | 最終更新日:2024年3月4日

韓国の高校に文武両道はありません。運動する人は運動だけ、勉強する人は勉強だけです。普通科の生徒たちは大学受験に向けて睡眠時間4時間で毎日勉強です。クラスメートとも、勉強の邪魔をしない範囲内での付き合いです韓国の高校生活は日本の高校生活とはまったく違います。ここでは、韓国の高校生活について、実体験と最近の若い人たちの話を基にご紹介します。

目次 ▼

1 韓国の高校は男女別学

「男女7歳にして席を同じゅうせず」という儒教の教えがあります。
共学もありますが、学校が同じだけで、男子クラス、女子クラス、男女別々の教室です。ですので、夜、学院(塾)や読書室(自習室)へ行くと、そこが男女の出会いの場となります。ジュースの自動販売機や、夜食用のカップラーメンがあるのですが、そこで恋が芽生えることがあります。
ただ最近の共学校では、日本のように同じ教室に男女がいっしょにいる高校も増えています。

2 制服がある

学校の制服は「校服」と言います。

3 昼ごはんは給食

幼稚園から高校まで韓国はすべて給食です。お弁当という学校はありません。

学校に食堂がある

給食費は月に15万ウォンくらいですが、最近は給食を無償提供する自治体が増えています。

4 日本のような「部活動」はない

「普通科」の高校生は勉強だけです。

運動をする人は運動だけ、音楽やる人は音楽だけ

運動や音楽で大学に行く人だけが運動や音楽をやり、それ以外の人は、皆、勉強だけです。文武両道はありません。

「普通科」は全てが大学受験のため

どの大学へ行くかで一生が決まると言っても過言ではないからです。そのため韓国の高校生たちは寝る時間も惜しんで勉強しています。学校では勉強だけです。ですから韓国の中学や高校には日本のような「部活動」がありません。大学に入るために一日中勉強しています。「部活動」をする余裕はまったくありません。

3 高校でも第二外国語がある

韓国では、大学の教養でも第二外国語を勉強しますが、高校でもあります。授業はだいたい1週間に1回です。以前は大学の入学試験には入りませんでした。しかし大学に入る時の内申点には入りますから、大学に行く人は熱心に勉強しました。高校だけでなく中学校でも第二外国語のある学校があります。韓国では外国語の学習はとても大事です。

以前は高校ごとに外国語の科目が決まっていた

以前はフランス語やドイツ語の高校が多かったです。私の通った高校はフランス語でしたから3年間第二外国語でフランス語を勉強しました。勉強したくてしたわけではないので全然話せません。

最近は2科目ぐらいから選ぶことができ、多いのは日本語と中国語

ソウル市所在高等学校編成現況
左から「科目名 学校類型|「日本語」「中国語」「フランス語」「ドイツ語」「スペイン語」「ロシア語」「アラブ語」
ソウル市内では80.9%の学校で日本語選択が可能です。

最近は中国語を選ぶ人がどんどん増えていますが日本語を選ぶ人も多いです。ですので日本語や中国語がすこ~しわかるという人は、韓国にはとても多いです。

6 授業はほとんど聞いていない

皆、学院(塾)で先に習っています。

学院(塾)で出た宿題などをしている

さぼったりすると内申点が悪くなるので、皆、静かに違う勉強をしています。

3年生になると授業はほとんどなく全部自習

授業があっても誰も聞いていないのでそのほうがいいです。

7  朝と放課後に「自立学習」がある

自律学習というのは、学校の授業が始まる前や放課後に受験のために自習をすることです。名前は「自律」ですが半強制です。当番の先生が見回っています。さぼると担任の先生に怒られますし、家にも連絡が行って親にも怒られます。

早い学校は1年生から、遅くとも2年生には「自律学習」が始まる

朝の自律学習が午前7時からで、夜の自律学習が午後4時から午後9時とか10時までです。晩ご飯は学校に「学生食堂」があるのでそこで食べます。ちなみに、韓国では小学生も中学生も高校生も「学生」です。

自律学習が終わってからも勉強

学院(塾)へ行ったり、読書室(自習室)へ行って午前2時ごろまで勉強します。
学院(塾)や自習用の読書室には送迎用のマイクロバスがあり、自律学習が終わる時間に高校の前に迎えに来て、帰りは家まで送ってくれます。

「四当五落」と言う

「4時間睡眠なら合格、5時間睡眠なら落ちる」という意味です。寝るときは寝てすっきりした頭で勉強したほうがいい、とは言いません。

眠い時はやっぱり眠い

本当にみんながちゃんと勉強しているかというと、実はそうでもありません。4時間睡眠ではやっぱり眠いですから、朝の自律学習では机で寝ている人も多いですし、なんとかさぼろうとする人もいます。私も自律学習を何度か抜け出してさぼりました。机をトイレに隠してしまい、当番の先生のチェックを逃れました。友達には「勇気ある」とか「すごい」と言われてました。

最近は夜間の自立学習はやめたほうがいいという意見が増え

2023年に夜間の自立学習はなくなりました。また学生食堂での夕食の提供もなくなりました。

8 夏休みも冬休みも「自立学習」と「学院(塾)通い」

夏休みや冬休みも午前7時から「自立学習」をして、その後「学院(塾)」に通い、更に「読書室(自習室)」で勉強します。睡眠時間は4時間くらいです。
一日中勉強する生活を3年間続けます。

地方の高校生は夏休みや冬休みにはソウルに上京

考試院などに泊まって、朝から晩まで「学院(塾)」と「読書室(自習室)」で勉強します。
韓国語の簡易宿泊所「考試院」について

9 韓国の高校はその後の生活をかけた戦場

国別 大学生の高校のイメージ
左から、韓国、中国、日本、アメリカ、
グラフの色は、緑が「いっしょに過ごす広場」、灰色が「取引する市場」、赤が「死活をかけた戦場」

韓国と日本が対照的です。高校生活のイメージは、日本人にとっては「楽しい高校生活」という思い出が大部分のようですが、韓国人にとっては「人生をかけて勉強した、他人との競争の場」です。

クラスメートの勉強の邪魔をしないように気を使う

男女共学で同じ教室に男女がいても、お互いの勉強の邪魔をしないというのが不文律です。

10 中学校、高校の校則が厳しい

学校では、生徒たちに勉強に集中させるため校則も厳しいです。服装をはじめ生活全般まで校則で細かく拘束しています。
最近は子供たちにも人権があるということで、各自治体ごとに人権条例も作られていますが、実態はあまり変わっていないようです。

全体の81%が異性との交際を校則で禁止

禁止していない学校は、商業高校などの受験とは関係ない学校ではないかと思います。
そして、異性交際を摘発するため、全校生徒に設問用紙を配り、異性交際している生徒を書かせたり、つげ口をした生徒に内申をプラスするなど、相互監視システムを使う学校まであります。
こんなことが21世紀の現代でも韓国の中学校、高校で行われています。
勉強には恋愛はマイナスということです。

服装の規定も厳しい

パーマや染めることはもちろん禁止、制服の下には白以外のシャツ禁止、冬でもコートなどの外套禁止の学校も42.2%あります。寒くて死んじゃいます。

最近は化粧をする中学生、高校生が増えている

化粧をしていない学生たちのみ教務室出入を許容します。

校則の厳しい学校では化粧なんてもってのほかです。

直接間接の体罰を受けたことのある中学生が25%

昔は体罰当たり前でしたが、現在は禁止されているはずなのにこの数字です。

11 高校の運動部は朝から晩まで練習

韓国では、高校で運動する人は運動だけです。勉強はしません。しなくてかまいません。そんな特別な生徒を「特技生」といいます。運動だけでなく音楽や美術を専攻する人も特技生です。
韓国の高校は、文教部〔日本の文部科学省〕指定の特技科目があり、野球の高校なら野球部を重点的に、サッカーの高校ならサッカー部に力を入れます。他のスポーツも同じです。運動部がまったくない高校もありますし2つ3つある高校もあります。

韓国では野球部やサッカー部がある高校が全国で60校前後

日本では野球部やサッカー部のある高校がそれぞれ4000校以上ですから比べ物になりませんね。
野球だと全国で67校だけです。

全国大会も簡単にできる

全国大会が年に6回あります。その上週末リーグまであるので、シーズン中は土日ごとに全国大会をやっています。ですので、全国大会優勝といっても日本のような感慨はありません。

高校で野球をやるというのは、将来プロ野球の選手になるのが目的です。脱落してしまったら何の意味もありませんから、それはそれで、皆覚悟を持って練習しています。

韓国では高校で運動を選んだら朝から晩まで運動

授業はほとんど受けません。免除されます。そんな運動選手たちの将来はプロの選手かオリンピック選手か…。でも能力が足りなかったりけがとかしたら普通の高校生に戻ります。
特技生たちは勉強をほとんどしませんから運動選手はみんな「勉強できない人」「頭悪い人」というイメージです。

運動で結果を出せば延世大学でも高麗大学でも特技生の入学枠がある

勉強がまったくできなくても一流大学の肩書きが手に入ります。そのため人気のないスポーツ〔ホッケーとか〕をやって一流大学を目指す人もいます。勉強で入ったかどうかはすぐわかるんですけどね。
ただ、あまりにも勉強しないのは人間的に問題がある、という社会的な雰囲気から、特技生たちも最低限の勉強をしなければならないように変わりました。

11 私の通っていた中学校は「国楽試範中学校」に指定されていた

それで、私も中学生のときはこんな伝統楽器をやってました。「ヘグム(해금・奚琴)」と言います。

ひとりでやるのではなく学校に楽団があって、その「楽団公演」であちこちの学校に演奏に行きました。授業を受けないであちこち行くのでとても楽しかったです。

高校に入る時、中学校で特技生推薦をもらった

もらえるのは楽団の中でも2人くらいです。それで母に「芸術高校へ行きたい」と言ったのですが

母に猛反対された

音楽の特技生で高校へ行くというのは音楽で身を立てるということで、いくら音楽をやっても会社に就職できない。それにあんたは勉強ができないわけではないのだから勉強して大学行きなさい、ということで高校は普通科に行きました。音楽はお金がかかるということもありますが、

韓国ではどの大学を出たかがとても重要

ですから、勉強ができれば勉強を頑張っていい大学に入る。勉強はダメだけどスポーツや芸術の才能があれば「芸体能系」、どちらもダメなら商業高校とか工業高校です。
もちろん大学に行くのはお金がかかるし、芸術系はもっとかかります。ですから、家に余裕がない人は商業高校や工業高校へ行き、高卒後すぐ働きます。

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監修者

監修者の写真

<出身大学>

新丘大学家庭教育学部

<略歴>

ソウル出身。韓国語教育が専門分野。2006年に来日し、2011年より韓国語教室ハングルちゃんの共同経営者兼主任講師。 生徒たちが積極的に参加しやすい雰囲気を作り、能力を最大限に引き出す指導スタイルが評判。

監修者の写真

内田 昌弘 (うちだ まさひろ)

韓国語教室ハングルちゃん代表

<資格>

通訳案内士韓国語(国家資格)
日本語教育能力検定
高等学校と中学校教員1種免許状(数学)

<出身大学>

京都大学農学部卒業

<略歴>

東京生まれ千葉県育ち。韓国在住(歴)15年、1996年から2006年までの11年間は、韓国最大規模の語学学校(YBM学院)にて日本語部門の教授部長。2011年6月に韓国語教室ハングルちゃんをスタート。