最近の韓国の若者は、ひとりを楽しむ人が増えています。
以前は、「ひとり」という言葉は、とてもマイナスなイメージの言葉でしたが、最近は、これまでと違って、「ひとり」のプラスの面を見直すように、社会全体の雰囲気が変わってきています。
女性ひとりの旅行法
目次
- ○ 1 ひとりがいい、そんな人が増えています。
- ・「ひとり」をテーマにした本も、たくさん出ています。
- ・日本の本の翻訳版も、たくさん出ています。
- ・誰にも邪魔されずに1人で食事を楽しみます。
- ・ホンパブを楽しむ人は、20代の女性が一番多いですが、30代、40代も増えています。
- ○ 2 人と直接話すことがストレスです。
- ・若い人たちにとって、人と話すのはとても苦痛でストレスなことです。
- ・40代以上の人たちには、会って話すのが原則で、それができなければ電話で話すのが礼儀だと考えます。
- ・知っている人とさえ話すのが嫌なのですから、知らない人と話すのはなおさらです。
- ・アンケート結果からも明らかです。
- ○ 3 最近の韓国の若者たちの文化について
1 ひとりがいい、そんな人が増えています。
今や、ひとりで住む生活は大勢になった
以前は、「ひとり」という言葉は、とてもマイナスなイメージの言葉でした。
それは、他人との孤立、断絶を意味し、とても寂しく、耐えられないものです。韓国人が、海外留学に行って一番つらいのも「ひとり」です。「ひとり」は、集団主義、家族主義の韓国では、克服しなければならないものです。
しかし、最近は、ひとり住まいの人が急速に増えています。若者も、お年寄りも増え、ひとり世帯は、この10年で8倍になりました。2035年頃には2人世帯を追い抜くと予想されています。そのため、これまでと違って、「ひとり」のプラスの面を見直すように、社会全体の雰囲気が変わってきています。
テレビでも、おひとり様のプラス面が強調されはじめました。
「ひとり」をテーマにした本も、たくさん出ています。
ひとりでいる時間の力
また、このごろは、「おひとり様」のプラス面を、日本は早くに見出したと評価するようになり、
日本の本の翻訳版も、たくさん出ています。
ひとり生活5年次
寂しさに慣れてこそ他人との真正な人間関係を築くことができるし、自分自身を見つめることができる。
しかし、本当の意味で「ひとりの時間を持つ」ためには、最低限の経済力が必要だと考えられ、お金がなく、日々の生活に余裕のない「ひとり」は、有意義な「ひとり」とは、みなされていません。
誰にも邪魔されずに1人で食事を楽しみます。
韓国では、1人で食事をするのは寂しい、たとえインスタントラーメン一杯でも分け合って食べる、それが一般的な考え方だったのですが、今の若者たちは、食事も1人で、誰にも邪魔されずに楽しみたいと考えます。1人で食事をすることをホンパブ(혼밥)と言います。新造語です。
ホンパブ(혼밥)は「ひとりで(혼자)ご飯(밥)を食べる」の縮約です。1人で食事を楽しみたい人のためのホンパブ食堂が増えています。
ひとりひとりの席に、ついたてを立てて、横の人が視線に入らないようにしているところがホンパブ食堂では一番多いです。コロナが流行する以前からこのタイプだったので、コロナ流行後にも特別な追加対策は必要ありませんでした。
ホンパブを楽しむ人は、20代の女性が一番多いですが、30代、40代も増えています。
スマホを見ながら食事をする人が多いので、このような、特製どんぶりを開発した店もあります。
1990年代だったと記憶していますが、日本で「お一人様」文化が一般化して、1人でカラオケを楽しんだり、お一人様用の鍋料理屋が流行っていることなどが韓国にも紹介されました。韓国人には、「お一人様文化」は、とても奇妙なものとして映りました。日本人は、なんて寂しい人たちなんだ。
でも、あれから20数年が経って、同じになりました。
2 人と直接話すことがストレスです。
今の若い人たちは、カカオトークなど、スマホのメッセンジャーを使って会話をすることに慣れてしまい、電話で話したり、直接会って話すことを極度に嫌います。
若い人たちにとって、人と話すのはとても苦痛でストレスなことです。
韓国では、旧正月や秋夕の名節の時には、親戚が集まり、あれこれ近況を話し合うのが一般的ですが、今の若者たちは、それさえも避けたがります。いろいろ聞かれて答えるのもおっくうだし、第一そのような会話は何の役にも立たないと考えるからです。
40代以上の人たちには、会って話すのが原則で、それができなければ電話で話すのが礼儀だと考えます。
しかし、今の若者たちは、そんなことは不必要で非効率的と考えます。口と耳で会話をするのではなく指と目で会話する世代です。
知っている人とさえ話すのが嫌なのですから、知らない人と話すのはなおさらです。
いつも行く食堂でお店のおばちゃんに話しかけられるのも嫌だし、とにかく、できるだけ人に話しかけられないよう、わざわざイヤホンをしている若者も少なくないそうです。
アンケート結果からも明らかです。
上のふたつは、家族と対話時、
下のふたつは、他人と対話時、
そして、それぞれの上側は、一番好む手段、
下側は、主に活用する手段で、
青がメッセンジャー(カカオトークやライン等)または文字、
緑が電話、
黄色が対面、
灰色がその他です。
家族とは、会って話すほうがいいと考える若者が半数ほどいますが、実際はメッセンジャー(カカオトークやライン等)や文字で済ます若者が半数になります。そして、家族以外の人とは75%がメッセンジャーや文字で済ませています。
こんな状況ですから、会社に入ってからが大変です。緊急時でも上司にメッセンジャーで済ます今の若者たちに、時と場合を考えろと怒る上司たちと衝突が絶えません。