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韓国の暮らし(03)【車・地下鉄・バス】

韓国の交通事故や交通マナーを、データを基に韓国人視点で紹介します。

目次

1 交通事故の死亡者数

韓国の交通事故による死者数は、2021年に2900人でした。

ピークは1991年の13429人で、その後、1995年には10323人、2010年には5505人ですから、年々大きく減少しています。

日本では、2021年に2636人でした。

日本のピークは、1970年の16765人です。ピークは韓国よりずっと早いですが、その後は、1995年に10679人、2010年に4863人ですから、1990年以降は、韓国と、だいたい同じような感じで減少しています。

人口は、韓国のほうが少ないですが、韓国人は、たくさん車に乗るので、

交通事故で死ぬ確率は、恐らく、あまり変わらないのではないかと思います。

韓国は、車の運転が乱暴で、交通事故でたくさんの人が亡くなっているイメージがあると思いますが、数字で見ると、それほどでもないことがわかります。

2 交通事故の件数

日本は1年間で38万件あまりです。

韓国は、警察庁の統計で22万件となりますが、実際の事故件数は、ずっと多い数になります。だいたい2倍以上はあると言われています。
韓国では、人身事故でなければ、お互い契約している保険会社に連絡して、保険の処理で済ませてしまうことが多いからです。車同士がぶつかったくらいなら、いちいち警察に電話しません。

韓国は恐らく年間45万から50万件程度です。

事故件数は、韓国のほうが、かなり多いです。

3 事故の原因

事故原因は、ちょっと違います。

日本で一番多いのは「安全不確認」です。

要するに運転者の不注意ですね。
例えば、一時停止をせずに交差点に入り、横から来た車と衝突してしまった、というものです。

韓国では、一番はスピードの出しすぎが圧倒的で、次が信号無視などです。

韓国では、自転車と車の事故というのは少ないです。

そして、死亡者の40%近くが歩行者です。

しかし、歩行者のほうにも問題のあるケースも少なくないです。韓国では、横断歩道以外の所を無断横断(不法横断)する人が多いからです。韓国人で、無断横断したことがない人はいません。幼稚園でも、老人ホームでも、「無断横断したことある人は手を挙げてください」と言えば、みんな手を上げます。もし、手を挙げない人がいたら、「うそつくなよ」とみんなに言われます。

日本でも歩行者の割合が高く、全国で35%、東京だけだと50%近いです。

そのうちの半分以上が65歳以上のお年寄りだそうです。

歩行者の事故が多いというのは、韓国も日本も同じですね。

4 国民みんなが交通違反パパラッチになりました。

韓国では、交通違反をした車を、携帯の動画やドライブレコーダー(블랙박스・ブラックボックスと言います)で撮影して、それを警察に提出し、交通違反が認められると、交通違反をした車の運転手は、違反点数が課され罰金を払わされます。

例えば、あおり運転をされた時も、ドライブレコーダーで撮影した映像を提出することで、ほぼ間違いなく、違反した運転手は罰せられます。

この制度を「公益申告」と言います。

2018年にスタートし、2021年には、年間300万件の申告があり、そのうちの52%が違反と認められ、罰金が命じられました。

違反の認定率が低いのは、運転中の携帯電話操作などが、公益申告の対象に入っていなかったからです。対象外の違反を撮影した動画が多かったのですが、しかし、2022年より、今まで入っていなかった違反が更に追加されたことで、今後は、申告されれば98%程度、罰金を命じることが可能になったそうです。

「公益申告」の効果は大きいです。

昨年、韓国で3年ぶりに車を運転して実感しました。以前はよく見た、めちゃくちゃな運転をする人が、ほとんどいなくなっていました。ウインカーを出さない車もあることはありますが、ほとんどの車がちゃんと出しますし、無理な車線変更もほとんどありませんでした。スピード違反も少ないと感じました。

ドライブレコーダーで撮影されて、それを警察に提出されたら大変ですから。

また、今までは、後ろから救急車や消防車が来ても、道を譲ることがほとんどありませんでした。
テレビで「救急車を先に通すのが先進国だ」ということは何度も放送していましたが、国民の意識は、なかなか変わりませんでした。
それが「公益申告」の制度ができたことで、クラクションを鳴らされながらも、皆、道を譲っていました。効果は絶大です。

韓国では、ほぼ100%の車にドライブレコーダーがついています。

国民すべてをパパラッチにすることで、やっと交通マナーを確立させました。

5 スピードバンプだらけです。

日本では、あまり見かけませんが、韓国には、車が速度を落とすよう、道路上に、あちこち、でっぱりがあります。韓国語では、過速防止段(과속방지턱)と言います。

日本では、なんと言うのでしょうか? 英語では、Speed bunp(スピード・バンプ)というみたいで、日本語でも、バンプとかスピードバンプでしょうか? 日本では、あまり見かけませんが、韓国では、本当にたくさんあります。

横断歩道の前後にあって、いやでも速度を落とすしかありません。

けっこう大きな道でもあります。

駐車場にもあります。

車の速度を落とすように、いくら看板や標識を作っても、まったく意味はなく、スピードバンプで強制的に速度を落とさせるしかありません。
うっかり、スピードを出したままスピードバンプを乗り越えると、車に衝撃がかかることもあるので、カーナビでは、スピードバンプがあることを、いちいち教えてくれます。

以前は、けっこう高さのあるスピードバンプがあって、底の部分をこする車もあったのですが、今では、高さは10cm以内に制限されています

6 カメラを使って交通違反を取り締まります。

大きな交差点にはカメラが設置されています。

韓国では、信号無視などの事故が多いのですが、信号が赤に変わった後に停止線を越えて交差点に進入すると自動的にカメラで撮影され、あとで「反則切符」が届きます。

駐車違反が多い場所にも、専用のカメラが設置されていることが多いです。カメラのある場所に不法駐車をすると、自宅に反則切符が送られてきます。ですので、車をちょっと止めようかな、という時、そこが駐車違反の場所だったら、韓国人は、周りの電信柱の上などにカメラが設置されていないか確認します。

また、スピード違反も同様です。

道路のあちこちに自動速度取り締まり機があります。

しかし、これは、ナビが、取り締り機の場所を教えてくれます。スピードを出している車も、そこだけ速度を落とし、またスピードを出します。ですから、取り締まりの効果が、あまりありません。

高速道路では、一定区間の平均速度で取り締まる区間が増えています。

ある一定の区間、だいたい10キロから20キロくらいの区間(写真では7.4km)の平均速度が100キロを超えていたら、自宅に反則切符が届きます。もちろん、この取り締まりもナビが教えてくれます。でも、一定区間で、速度を守らなければならないため、効果は大きいです。

そして、カメラを使った取り締まりではないですが、韓国では、

飲酒運転の取り締まりも多いです。

警察の話では、「飲酒運転の取り締まりをすればするほど飲酒運転の事故は減る」というデータがあるそうです。そのため、韓国では、週末の夜になると、検問があちこちにできます。

7 住宅街の道は、車を止めても駐車違反の切符は切られません。

韓国では、幹線道路の駐車禁止の場所で車を止めると駐車違反の切符をすぐ切られます。でも、住宅街は駐車違反の切符は切られません。

ちょっと広い道だと、道の両側に車が止まっています。対向車が来ると、どちらかがスペースのある所に入ってすれ違います。

道の角でもどんどん車を止めます。右左折するとき邪魔な車も多いです。

左の乗用車も、右のトラックも、みんな不法駐車です。ここを通る車はジグザグに行くしかありません。もちろん、一方通行ではありませんから、対向車が来るとかなり面倒です。

みんなが勝手に、道路に車をどんどん止めるので、家から出る時に邪魔になったり、家の駐車場から車が出せなくなるような時もあります。
でも、そんな時は、警察に通報すると、警察官が来て、車のナンバーから持ち主を調べて、持ち主に電話をします。そして、車を移動させます。でも、駐車違反の切符は切りません。「どうして駐車違反の切符を切らないのか」と警察に文句を言うと、「もしそうすると、すごい数になって、全部できないからだ」と言います。韓国では駐車場がなくても車が買えるようにしてるとしか思えません。

市や区が、そこに住んでいる人のために、道路の一部を駐車場としている所があります。

居住者優先駐車区域(거주자우선주차구역)と言います。料金は月に3万ウォン~6万ウォンと格安です。市民や区民の道路を、勝手に駐車場代わりに使うから道路が狭くなって、車も通りにくいし人も歩きにくいのですが、誰も文句を言いません。

韓国では、日本のように「駐車場がないと車が買えない」ということはありません。駐車場がなくても車はいくらでも買うことができます。

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