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韓国の交通マナーと交通事故件数【2024年最新版】

投稿日:2020年12月26日 | 最終更新日:2024年3月4日

韓国人の車の運転は乱暴で荒い、日本人にはそんなイメージがあります。それは確かにその通りで、間違いではないのですが、しかし、韓国人の車の運転は、ここ最近劇的に改善されました。以前のような、交通ルールを無視した乱暴な運転はほとんど見られなくなっています。
今、韓国に来たら、スピードを出さずにゆっくり走る車に、逆にびっくりすると思います。
ここでは韓国の車の運転や交通事故、そして運転マナーを確立させた方法について、詳しくご紹介します。

目次 ▼

1 交通事故の死亡者数

韓国の交通事故による死者数は2021年に2900人

ピークは1991年の13429人で、その後1995年に10323人、2010年には5505人と年々大きく減少しています。

日本では2021年に2636人

日本のピークは1970年の16765人です。ピークは韓国よりずっと早いですが、その後は1995年に10679人、2010年に4863人ですから、1990年以降は、韓国とだいたい同じような感じで減少しています。

交通事故で死ぬ確率は日本も韓国もあまり変わらない

人口は、韓国のほうが少ないですが、韓国人はたくさん車に乗ります。ソウル市内も車で動きます。
韓国人は車の運転が乱暴で、交通事故でたくさんの人が亡くなっているイメージがあると思いますが、数字で見るとそれほどでもないことがわかります。

2 交通事故の件数

日本は1年間で38万件あまり

韓国は、警察庁の統計で22万件となりますが、実際の事故件数はずっと多い数になります。だいたい2倍以上はあると言われています。
韓国では、人身事故でなければお互い契約している保険会社に連絡して保険の処理で済ませてしまうことが多いからです。車同士がぶつかったくらいならいちいち警察に電話しません。

韓国は恐らく年間45万から50万件程度

事故件数は韓国のほうがかなり多いです。

3 事故の原因

事故原因はちょっと違います。

日本で一番多いのは「安全不確認」

要するに運転者の不注意ですね。
例えば、一時停止をせずに交差点に入り横から来た車と衝突してしまった、というものです。

韓国では一番は「スピードの出しすぎ」が圧倒的で、次が「信号無視」などの法令違反

韓国では自転車と車の事故というのは少ないです。

死亡者の40%近くが歩行者

歩行者のほうにも問題のあるケースも少なくないです。韓国では横断歩道以外の所を無断横断(不法横断)する人が多いからです。韓国人で無断横断したことがない人はいません。幼稚園でも老人ホームでも「無断横断したことある人は手を挙げてください」と言えばみんな手を上げます。もし手を挙げない人がいたら「うそつくなよ」とみんなに言われます。

日本でも歩行者の割合が高く、全国で35%、東京だけだと50%近い

そのうちの半分以上が65歳以上のお年寄りだそうです。

歩行者の事故が多いというのは日本も韓国も同じですね。

4 国民みんなが交通違反パパラッチになった

韓国では、交通違反をした車を携帯の動画やドライブレコーダー(블랙박스・ブラックボックスと言います)で撮影して、それを警察に提出し、交通違反が認められると、交通違反をした車の運転手は違反点数が課され罰金を払わされます。

例えば、あおり運転をされた時も、ドライブレコーダーで撮影した映像を提出することで、ほぼ間違いなく違反した運転手は罰せられます。

「公益申告」制度

公益申告の制度は2011年にスタートしました。勤労基準法違反や障碍人等便宜法違反、廃棄物管理法違反など、法律違反の申告を受け付け、違反と認定されると違反者に罰則や罰金を課す制度です。
一部の申告には申告者に対して報奨金が支払われるので、報奨金目当てのパパラッチが韓国にはたくさんいます。
申告のできる法律や報奨金の対象となる違反は毎年変わり、2018年から道路交通法違反も申告対象となりました。ドライブレコーダーの記録を提出することで違反者に罰則や罰金を課すことができるようになり、韓国人の車の運転が大きく変わりました。

昨年2022年には公益申告の全申告565万件のうちの約80%が道路交通法違反でした。
認定された違反には8800億ウォンの罰金を課され、また報奨金として79億ウォンを支出しています。

2018年にはじまった道路交通法違反の公益申告によって韓国人の車の運転は劇的に変わりました。しかし、配達員のオートバイの中に交通違反連発のオートバイがかなりあります。そのため2023年にはオートバイの信号違反、中央線侵犯、ナンバープレートを折り曲げたり毁損する行為等が報奨金の対象となり、違反により1件当たり最高8千ウォンの報奨金が支払われます。
これでオートバイの運転も劇的に変わるはずです。

「公益申告」の効果は絶大

昨年、韓国で3年ぶりに車を運転して実感しました。以前はよく見ためちゃくちゃな運転をする人がほとんどいなくなっていました。ウインカーを出さない車もあることはありますが、ほとんどの車がちゃんと出しますし、無理な車線変更もほとんどありませんでした。スピード違反も少ないと感じました。

ドライブレコーダーで撮影されてそれを警察に提出されたら大変なことになる

2018年以前は、後ろから救急車や消防車が来ても道を譲ることがほとんどありませんでした。
「救急車を先に通すのが先進国だ」ということをテレビで何度も放送していましたが、国民の意識は、変わりませんでした。
それが「公益申告」の制度ができたことで、クラクションを鳴らされながらも、みんな道を譲っていました。効果は絶大です。

韓国ではほぼ100%の車にドライブレコーダーがついている

国民すべてをパパラッチにすることで、やっと交通マナーを確立させました。

5 スピードバンプだらけ

日本では、あまり見かけませんが、韓国には、車が速度を落とすよう、道路上にあちこちでっぱりがあります。韓国語では過速防止段(과속방지턱)と言います。
日本ではなんと言うのでしょうか? 英語ではSpeed bunp(スピード・バンプ)というみたいで、日本語でもバンプとかスピードバンプでしょうか? 日本ではあまり見かけませんが、韓国では本当にたくさんあります。

横断歩道の前後にあっていやでも速度を落とすしかない

けっこう大きな道にもある

駐車場にもある

車の速度を落とすように、いくら看板や標識を作ってもまったく意味はなく、スピードバンプで強制的に速度を落とさせるしかありません。
うっかりスピードを出したままスピードバンプを乗り越えると車に衝撃がかかることもあるので、カーナビではスピードバンプがあることをいちいち教えてくれます。

以前はけっこう高さのあるスピードバンプがあって底の部分をこする車もあったのですが、今では高さは10cm以内に制限されています

6 カメラを使って交通違反を取り締まる

大きな交差点にはカメラが設置されている

韓国では信号無視などの事故が多いのですが、信号が赤に変わった後に停止線を越えて交差点に進入すると自動的にカメラで撮影され、あとで「反則切符」が届きます。

駐車違反が多い場所にも専用のカメラが設置されていることが多いです。カメラのある場所に不法駐車をすると自宅に反則切符が送られてきます。ですので車をちょっと止めようかなという時、そこが駐車違反の場所だったら、韓国人は周りの電信柱の上などにカメラが設置されていないか確認します。

道路のあちこちに自動速度取り締まり機があ.る

ナビが取り締り機の場所を教えてくれます。スピードを出している車も、そこだけ速度を落とし、またスピードを出します。ですから取り締まりの効果があまりありません。

高速道路では一定区間の平均速度で取り締まる区間が増えている

ある一定の区間、だいたい10㎞から20㎞くらいの区間(写真では7.4㎞)の平均速度が時速100㎞を超えていたら自宅に反則切符が届きます。もちろん、この取り締まりもナビが教えてくれます。でも、一定区間で速度を守らなければならないため効果は大きいです。

飲酒運転の取り締まりも多い

警察の話では「飲酒運転の取り締まりをすればするほど飲酒運転の事故は減る」というデータがあるそうです。そのため韓国では週末の夜になると検問があちこちにできます。

7 住宅街の道は車を止めても駐車違反の切符は切られない

韓国では、幹線道路の駐車禁止の場所で車を止めると駐車違反の切符をすぐ切られます。でも、住宅街は駐車違反の切符は切られません。
ちょっと広い道だと道の両側に車が止まっています。対向車が来るとどちらかがスペースのある所に入ってすれ違います。

道の角に止まっていて右左折するとき邪魔な車も多い

左の乗用車も右のトラックもみんな不法駐車です。ここを通る車はジグザグに行くしかありません。一方通行ではありませんから対向車が来るとかなり面倒です。

みんなが勝手に車を止めるので、家から出る時に邪魔になったり、家の駐車場から車が出せなくなるような時もあります。
そんな時は警察に通報すると警察官が来て、車のナンバーから持ち主を調べて持ち主に電話をします。そして車を移動させます。でも駐車違反の切符は切りません。「どうして駐車違反の切符を切らないのか」と警察に文句を言うと「もしそうすると、すごい数になって、全部できないからだ」と言います。韓国では駐車場がなくても車が買えるようにしてるとしか思えません。

市や区が、そこに住んでいる人のために道路の一部を駐車場としている所がある

居住者優先駐車区域(거주자우선주차구역)と言います。料金は月に3万ウォン~6万ウォンと格安です。市民や区民の道路を勝手に駐車場代わりに使うから道路が狭くなって車も通りにくいし人も歩きにくいのですが、誰も文句を言いません。

韓国では、日本のように「駐車場がないと車が買えない」ということはありません。駐車場がなくても車はいくらでも買うことができます。

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監修者

監修者の写真

<出身大学>

新丘大学家庭教育学部

<略歴>

ソウル出身。韓国語教育が専門分野。2006年に来日し、2011年より韓国語教室ハングルちゃんの共同経営者兼主任講師。 生徒たちが積極的に参加しやすい雰囲気を作り、能力を最大限に引き出す指導スタイルが評判。

監修者の写真

内田 昌弘 (うちだ まさひろ)

韓国語教室ハングルちゃん代表

<資格>

通訳案内士韓国語(国家資格)
日本語教育能力検定
高等学校と中学校教員1種免許状(数学)

<出身大学>

京都大学農学部卒業

<略歴>

東京生まれ千葉県育ち。韓国在住(歴)15年、1996年から2006年までの11年間は、韓国最大規模の語学学校(YBM学院)にて日本語部門の教授部長。2011年6月に韓国語教室ハングルちゃんをスタート。