韓国の火病(ファビョン)と風邪などの病気事情
ここでは、世界でも韓国人だけがかかる病気『火病(ファビョン)』、そして、風邪や疲れから来る病気事情、病気に対する考え方の違いなどをご紹介します。
目次 ▼
- ○ 1. 韓国では火病(ファビョン)にかかる人が多い
- ・火病(ファビョン・화병)というのは病気の名前
- ・韓国では「怒りがたまると病気になる」
- ・火病の症状は様々
- ・火病の患者は年間10万人以上
- ・10代、20代の若い人たちの中で火病にかかる人が増えている
- ・火病にかかったら病院に行くのが一番
- ○ 2. 風邪でもすぐ病院に行く
- ・2018年の資料ではOECD加盟国中1人当たり病院診療回数は一番
- ・注射で風邪の症状を治してもらう
- ・韓国では筋肉注射はお尻に打つ
- ・アメリカや日本は余程でないと注射をしない
- ・韓国も医薬分業になっているので薬を出しても医者は儲からない
- ○ 3. 疲れが重なると体を壊すのがモムサル
- ・風邪はウィルスが原因、モムサルは疲れが原因
- ○ 4. 夜中に病院の救急に行く人がたくさんいる
- ・日本で夜中に病院の救急へ行った時
- ○ 5. 抗生剤の消費量がOECD加盟国の中で一番多い
- ・韓国人は抗生物質の耐性率OECD国家中1位
- ・日本は国民1人当たりの年間使用量が基準でだいたい5グラム程度
- ・韓国でも風邪の患者に抗生物質を処方することは大幅に減っている
- ・それでもOECD国家平均の1.4倍もある
- ○ ※ 韓国語を楽しく学んでみませんか?
1. 韓国では火病(ファビョン)にかかる人が多い
「火病(ファビョン)」という言葉を聞いたことがありますか?
火病(ファビョン・화병)というのは病気の名前
世界でも韓国人しかかからない韓国人特有の病気で、精神疾患のひとつです。
韓国語で「怒る」とか「頭に来る」ことを「火が出る(ファガナダ・화가나다)」というのですが、その「怒り・火」が体にたまることで病気になります。ですので「火病」は、日本語に直訳すると「怒り病」です。
韓国では「怒りがたまると病気になる」
日本人みたいに我慢ばかりしていたら韓国人はみんな死んでしまいます。ですので「怒り」をためてはいけません。
火病の症状は様々
胸のつかえがとれず、体のあちこちがずきずきと痛み、ひどい頭痛を伴います。ひどい時には、死んでしまう人もいます。
火病の患者は年間10万人以上
少し前の統計ですが、傾向は今も変わっていません。これは、景気が悪いことも関係があると思います。火病にかかるのは40代、50代の人が多く、男性よりも女性が多いそうです。つまり、中年のおばさんたちが、火病に一番かかりやすいということです。
10代、20代の若い人たちの中で火病にかかる人が増えている
白線が30代以下で、オレンジ線が10代ですが、ともに増加しています。
これも、社会環境と大きく関係があります。今の若者たちが、それだけストレス社会に生きているということです。
火病にかかったら病院に行くのが一番
薬を処方してもらって怒りを鎮めます。また、漢方で怒りを鎮め、火病を治す方法もありますが、根本的には、ストレスをためないよう、日ごろから、運動などで気持ちを発散させるのが一番のようです。その意味でも、特に中高年の人は、日ごろから運動をするよう医者たちは勧めています。
2. 風邪でもすぐ病院に行く
病気なのに病院へ行かないのは、病気をわざわざ育てて大きくするだけだと考えます。だから、すぐ行きます。
2018年の資料ではOECD加盟国中1人当たり病院診療回数は一番
上から、韓国、日本、スロバキア、チェコ、ハンガリー、ドイツ、オランダ、トルコ、スイス、ニュージーランド、地理、メキシコ、スウェーデンです。
1年間に病院へ行く回数は、韓国人が17回、日本人が12.8回でした。10年前と比べて、日本人はほぼ同じですが、韓国人は13回から17回と増えました。韓国人が気軽に病院へ行くことが、資料からもわかります。
注射で風邪の症状を治してもらう
熱がある時だけでなく、肩がとても凝った時も、皮膚がかゆい時も注射をします。注射にもいろいろありますが、筋肉注射でも日本はだいたい肩に打つようですね。日本でお尻に注射を打たれたことは、まだありません。
韓国では筋肉注射はお尻に打つ
お尻のほうが神経が少ないので痛みが少ないというのが理由のようですが、よくわかりません。肩かお尻か選択の余地はありません。また、注射をする時には、ベッドに寝て、それから…、なんてこともなく、立ったまま、はいてるものをおろすと、看護婦がお尻を2、3回パンパンたたいて、ブスッとさします。日本の優しい看護婦さんのように「痛い?ごめんねえ」なんてことはありません。緊張してお尻に力が入っていると「力抜いて」と更にたたかれます。
アメリカや日本は余程でないと注射をしない
以前、私はアメリカに住んだことがあるのですが、その時に風邪で病院へ行きました。医者は診察したあと「水をたくさん飲みなさい」と言って、それで終わりでした。「注射はないんですか」と聞いたら「入院するほどの病気じゃなければ注射はしない」と言われました。
そして、日本でも重い病気でなければ簡単には注射をしませんよね。はじめは注射もしてくれないんじゃ、わざわざ病院に行く意味がないと考えましたが、だんだん体が慣れてきて、今は、すぐ病院に行かなくてもいい体になりました。注射に頼らないことで体の治癒力が上がったんだと思います。
韓国も医薬分業になっているので薬を出しても医者は儲からない
それで注射をたくさんするのかもしれませんし、病院に行ったのに目に見える効果がすぐに現れないと韓国人は納得しないので、即効性のある注射をするのかもしれません。あまり強い注射を打つのは、体に良くないという人もいますが、韓国では、医者に行くと、とにかく注射というイメージです。そのせいか、言うことを聞かない子供に対して、親が「そんなに言うこと聞かないなら、病院行って注射してもらうよ」と怖がらせて言うことを聞かせる方法もよく使われます。
3. 疲れが重なると体を壊すのがモムサル
韓国では、疲れが重なって体の調子がおかしくなった時、モムサル(몸살)と言います。症状は風邪と似ていて、熱が出たり頭が痛かったり、体がだるくて寝込んだりします。風邪と似た症状なので、「風邪・モムサル(감기・ 몸살)」 いっしょに書くことも多いですが、モムサル(몸살) は、風邪とは違うものです。
風邪はウィルスが原因、モムサルは疲れが原因
疲れすぎると体の機能がおかしくなって、熱が出たり、体が重くなって動かなくなることがないですか? 日本でも、「そんなに無理すると体壊しますよ」と言いますが、その体を壊した状態がモムサル(몸살)です。また、あれこれ気を使って、精神的な疲労が重なってモムサル(몸살)になることもあります。
4. 夜中に病院の救急に行く人がたくさんいる
韓国では夜中に救急(응급실・応急室)に行く人がたくさんいます。大学病院の救急は、本当に賑わっている感じです。
もちろん昼のほうが断然人が多いですが、夜でもがらがらということはありません。看護師は忙しくばたばたしています。韓国人はあまり我慢をしないからかもしれませんが、病院の夜中の救急の風景は、ずいぶん違います。
日本で夜中に病院の救急へ行った時
人も少ないし待たされるし、大学病院なのに「電話してから来ないと担当医がいないことがある」とかいろいろ面倒くさいし、ちゃんと診てくれないし、なんか救急の意味がない感じがしました。だから日本人はあまり救急に行かないのでしょうか?
以前、インフルエンザにかかったときは、まったく動けなくなって、看病に来た義理の母が救急車を呼んでくれたのですが、病院に着いてから診察まで3時間待たされました。救急の意味がまったくありませんでした。義理の母が薬だけでも出してくれと看護師に言ったのですが、診察してからじゃないと出せないと言うだけで、結局3時間病院のいすで横になっていました。
5. 抗生剤の消費量がOECD加盟国の中で一番多い
韓国人は、風邪はこじらす前に早めに処置をするのが賢いと考えます。風邪なのに様子を見てどんどん悪くなって苦しむのはバカだと考えます。そして、医者も強い薬を出します。強い薬が体に良くないことはわかっていますが、出した薬ですぐに治らないと、あの医者はやぶ医者だと評判になり、患者が来なくなるからです。ですので、医者は、商売上強い薬を処方せざるを得ません。
韓国人は抗生物質の耐性率OECD国家中1位
黄色葡萄状球菌 抗生剤 耐性率(MRSA)
左から、OECD平均、英国、米国、韓国
しかし、抗生物質を濫用すると、体に耐性ができて、どんどん効かなくなります。そのため、政府や保健福祉部(日本の厚生労働省)では、適正な抗生物質の服用を呼びかけていますが、2015年にOECD国家中1位となりました。
ちなみに日本は50%程度のようで、日本もほめられた数字ではありません。
日本は国民1人当たりの年間使用量が基準でだいたい5グラム程度
OECDの基準は、国民千人当たり、一日に何人が抗生物質の処方を受けたかです。ですので、一人が一回にたくさんの処方を受けてもちょっとだけでも、統計では同じ数字になり一人当たりの消費量がわかりません。日本の基準のほうが適格だと思います。
また、OECD国ではない国のこともわかりません。特に中国は、ものすごい量の抗生物質を使用しているらしく、その使用量は、人以外への使用も含め、アメリカ人の平均の10倍以上らしいです。いずれ中国から抗生物質の効かないスーパー細菌が生まれ、その菌によって何千万人もの死者が出るとか人類が滅びるとか、そんなことを言っている学者もいるほどです。
どうやら、抗生物質の使用を抑えるのは世界的に緊急課題のようです。
韓国でも風邪の患者に抗生物質を処方することは大幅に減っている
風邪での抗生物質処方率
2000年代に入ってからどんどん下がりました。
しかし最近はほぼ横ばいです。
それでもOECD国家平均の1.4倍もある
風邪 抗生剤処方率 減ったけれども OECD1.4倍
それこそ、国民の意識改革というか、意識革命がないと、なかなか難しいように思います。風邪は引きはじめに抑え込むのが一番という意識を変える必要がありますから。
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監修者
<出身大学>
新丘大学家庭教育学部
<略歴>
ソウル出身。韓国語教育が専門分野。2006年に来日し、2011年より韓国語教室ハングルちゃんの共同経営者兼主任講師。 生徒たちが積極的に参加しやすい雰囲気を作り、能力を最大限に引き出す指導スタイルが評判。
内田 昌弘 (うちだ まさひろ)
韓国語教室ハングルちゃん代表
<資格>
通訳案内士韓国語(国家資格)
日本語教育能力検定
高等学校と中学校教員1種免許状(数学)
<出身大学>
京都大学農学部卒業
<略歴>
東京生まれ千葉県育ち。韓国在住(歴)15年、1996年から2006年までの11年間は、韓国最大規模の語学学校(YBM学院)にて日本語部門の教授部長。2011年6月に韓国語教室ハングルちゃんをスタート。